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てっしゅう
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「神のいたずら」 最終章 神のいたずら

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由紀恵はその会話を聞きながら、来るべき時がやってくると覚悟を感じた。

季節は移って碧のお腹もはっきりとその大きさが目立つようになっていた。インフルエンザに罹らないようにと予防接種を受けて、外出を控えて家の中にいるようになっていた。隼人は会社の帰りに毎日碧に逢っていた。お腹が大きくなければ仲良く出来たのに今は何もしないで、話だけして帰る日々を過ごしていた。

弥生が部屋に来て話しかけてきた。
「隼人さん、優しいね。毎日来て碧に逢って帰るなんて」
「うん、碧は幸せに思うよ。大好きな隼人さんが傍にいてくれるから」
「お姉ちゃんね、気になっていることがあるの。碧は気持が12歳だから解らないかも知れないけど、隼人さんきっと我慢してるって思うの」
「何を我慢してるの?碧が一緒に遊べないこと?」
「違うのよ。あなたたち子供作る事したんでしょ?どんな気持でそうしたの?」
「好きだからよ、だから何?」
「隼人さんは男の人よ。17歳で健康だったら・・・性欲があると思うの。碧のお腹が大きいから我慢していると思うけど、あまり長く何もしないと浮気されるかも知れないよ」
「浮気?隼人さんの赤ちゃんがお腹にいるのに?そんな事考えるの?」
「それとは別よ。男の人は・・・別なの。覚えておきなさいね」
「どうしたらいいの?お姉ちゃんも彼が浮気したの?」
「してないよ!させないようにしてるから・・・」
「鎖で繋いでいるの?」
「面白いことを言うね、あんたやっぱり子供だわ」
「意地悪言わないで、教えてよ」

弥生は自分が生理のときに彼にしていることを話した。碧は初めて聞いてちょっとビックリしたが、男の人はそうなんだと解るような気がした。由紀恵にも、パパとそうしているのか聞いてみた。
「碧・・・あなたそんな事誰に聞いたの?」
「お姉ちゃんが話してくれたの。気を遣ってあげなさいって」
「ママはして欲しくないけど・・・考えたら隼人さんは彼じゃなく夫になる人だからね。ママだってパパとはそうしてるよ」
「ありがとう、恥ずかしいこと聞いてごめんね」
「いいのよ、何でも話してくれて嬉しいから」

碧は明日隼人が来たときにそうしてあげようと思った。

隼人は仕事が終わって父親に話があると社長室に入っていった。
「どうした?隼人」
「話があるんだ。聞いてくれないか?」
「いいよ、座れ。なんだ話って?」
「おれ・・・子供が出来たんだ。相手は小野碧って言う中学三年の子なんだけど、事情があって生んで一緒に育てることに決めたんだ」
「本当か!相手の両親は賛成しているのか?美樹はどうなんだ?」
「賛成はしてないけど、仕方ないって認めてくれているよ。ただし一緒に子育てするから家に引き取るって言われているんだ。母さんは・・・向こうの家の言うとおりにしなさいって言ったよ」
「お前はそれでいいのか?」
「おれはまだ、住む所もないし生活が出来ないからそうするしかないと思ってるけど、出来れば碧と二人で育ててゆきたいって思うんだ」
「父さんはお前に何もしてやれなかったから、今回は世話をさせてくれ。住む所は探してやるから、子供生んだら二人で暮らせ。生活費はお前の給料を上げてやるから、何とかそれで賄え。男は自分の力で家族を守ってゆかなきゃダメだ。父さんみたいになるな」
「ありがとう・・・恩にきるよ。なあ、父さん。おれ子供が出来て考えるようになったんだけど、家族は一緒に暮らさないとダメだよ。母さんも淋しそうだし、もう一度やり直せないのか?」
「隼人・・・お前にそう言われるなんて、考えもしなかった。成長したな、父さん嬉しいぞ。美樹が許してくれるなら・・・皆で暮らしたいよ。麻美にも逢いたいからな」
「おれの事考えてくれた御礼に母さん説得して一緒に暮らせるようにしてやるよ」
「偉そうだな・・・息子にそういわれるようじゃ老けたな、俺も」
「もう直ぐおじいちゃんになるんだぜ、そりゃ老けるよ!」
「言ったな!こいつめ・・・そうか、おじいちゃんか・・・可愛いだろうなあ、お前の孫は・・・」

不仲を続けてきた父と息子が心を一つにした感動的な日になった。そして、隼人は帰りに寄った碧の家でさらに感動的なことを経験する。

隼人が父親と話した日は小野の家でも家族全員が揃って食事を囲みこれからの事を話し合っていた。隼人は秀之に、「泊まって行きなさい」と言われて、少し迷ったが明日は休みなので気持ちよく、「はい」とだけ答えた。

「そろそろ碧の出産準備を始めないといけないね」由紀恵は何が要るのか確認するように、話し始めた。隼人は父との約束を話そうと切り出した。

「今日父と話して子供が生まれた後のことでお願いがあります」
「隼人さん、何話したの?」碧は自分が聞かされていないことだろうとそう尋ねた。
「碧にも初めて話すね。父が二人で住む場所を見つけてくれると言いました。甘えたくないけど、今は碧のためにもそうしたいと従うことにしました。生活は給料でやって行けると思いますので、二人で暮らすことを許してもらえませんか?」
「隼人さん、碧は誕生日が来てもまだ15歳なのよ。赤ちゃん育てながら家のことなど出来ないから二人で暮らすなんて無理なことよ。そう思わない?」
「はい、初めはそうだと思いますが、手伝って頂ければ何とかなるって思うんです。おれの母も手伝いますから、ダメですか?」
「由紀恵、隼人くんの言うことは間違ってないと思うよ。お前が少し通って手伝ってやればいいじゃないか。夫婦は二人で暮らすものだよ。碧はどう思うんだ?」
「パパ・・・隼人さんが決めたことに碧はついてゆきたいの。自信はないけど、二人で育てることが生むって言うことの覚悟だって思うから」
「碧は偉いねえ〜お姉ちゃん感心したよ。私も応援に行くから、そうしたらいいよ。ママは何かにこだわっているの?碧の気持を大切に考えてあげてよ」
「弥生、ママは心配だからそう言うのよ。何もこだわってなんかいないよ」
「隼人さんのお家で一緒に暮らすって言うことだって考えられることなのよ。長男だし、碧は二女なんだし。入籍したら高林碧になるのよ・・・ママ解ってる?」
「あなたに言われなくても、そんなこと・・・」

由紀恵は弥生に言われたことがショックだった。時代が昔なら碧は高林に引き取られるのが当たり前なんだと解っていても、この3年間で碧とはいろんなことがあったから、簡単には離れられない心境であった。

秀之に何度も諭されて、由紀恵は二人で暮らすことを認めた。後片付けをしながら弥生は、「ママは本当は隼人さんを認めてないんでしょう?違うの?」と聞いた。
「あなただから言うけど、あんなことを碧にした子よ。反省しているって言ったって、はいそうですかって笑顔で迎えられないのよ。あなたに解るの?ママの気持」
「子供を作ってしまったことは隼人さんもいけないけど、碧が不注意だったこともあるのよ。あれほど強く避妊するようにって話しておいたのに、役に立ってないから」
「それは男の方がすることなんじゃないの?碧は悪くないと思うけど」