爪つむ女
「もう! 俺って何やってんだ」
パチンコの連チャンが終わってふぅ〜と息をついた途端、朝の和江との言い合いを思い出した。
こんなことしてていいのか?
和江が今どんな気持ちでいるか考えてみろ! ――自問の声がする。
そうだよ! こんな我儘な俺のために和江はよく尽くしてくれてるじゃないか。
初めて和江を愛しいと感じたのは、俺の足の爪をつんでくれた時じゃなかったか?
親以外にそんなことをしてくれた人が今までいたか?
俯いて、俺の足を取り、深くつみ過ぎないように用心しながらそっとつんでくれた。その姿にぐぐっときたんじやなかったのか?
運命の人……そう思ったのもあの時だった。
そして同じように思ってくれた和江の方は、あの時とちっとも変わっちゃいないんだろうに。なのに俺ときたら……。
そうだ! たまには和江とデートでもしよう。
朝のことを謝って、素直に今の気持ちを伝えるんだ。
――そう決めた雄次は早速和江にメールを打った。
一通りの家事を済ませた和江が、リビングのソファーでホットレモンティーに口を付け、今後の雄次との関係に暗い気持ちで思いを馳せたその時だった。
テーブルの上の携帯がメールの着信を告げた。
相手を確認するまでもなく、その音で雄次からだと分かる。
少し不安な面持ちでメールを開く。