男の決意、そして … その結果
大輔と亜伊火、
二人で余呉湖を訪ねてから1ヶ月が経った。
もう年の瀬も押し詰まってる。
世間が慌ただしい。
そんな日に、二人は京都の画家の個展に招かれて、会場で待ち合わせをした。
しかし、びっくりだ。
亜伊火が着物を着て、しゃなりしゃなりと登場して来たのだ。
大輔は今までこんな亜伊火を見た事がない。
「どうしたんだよ、亜伊火 … その大変身は?」
大輔は思わず聞いてしまった。
「大輔、失礼よ、こんな私もいるのよ」
亜伊火は、そんな事を言い切って澄ましている。
確かに、その日の亜伊火は違った。
個展会場では一人一人に丁寧に挨拶をし、物腰柔らかく振る舞っている。
そして、その背筋がしゃきっと伸び、その立ち姿が実に美しい。
その上に、艶めかしいのだ。
大輔にとって、亜伊火はいつも自由奔放で、かつ言いたい放題。
そして、どことなく野生の香りがする女性だった。
しかし、そんないつもの亜伊火はそこには存在しなかった。
なぜなのだろうか?
大輔は不思議でたまらなかった。
作品名:男の決意、そして … その結果 作家名:鮎風 遊