男の決意、そして … その結果
北の湖に伝わる羽衣伝説。
それは、天女が天に帰ってしまった所で終わってしまっている。
「その後、彼女は … どうしたと思うの?」
亜伊火が大輔に聞いて来た。
大輔はその伝説をもう一度思い出してみる。
今も言い伝えられている羽衣伝説。
それは随分と昔の事だった。
ある日、
八人(八女:やおとめ)の天女達が白鳥(しらとり)に変身して、
この北の小さな湖に舞い降りて来た。
美しい天女達は、
自分達の羽衣を、湖畔にある大きな柳の木に引っかけて水浴を始めた。
これを、湖畔に住む伊香刀美(イカトミ)という若い男が見ていた。
伊香刀美は、天女達を山で見た神人(しんじん)だと思ってしまった。
そして、何を血迷ったのか、白い犬に一番年下の天女の羽衣を盗まさせた。
時間は過ぎ、八人の天女達は水浴を終えた。
そして、七人の姉達は羽衣を着て、天へ帰ってしまったのだ。
だが、一番年下の妹、
その天女は羽衣がなくなってしまっている。
そのために、天に帰れなくなってしまった。
そんな困っている天女を、伊香刀美は家に招き入れた。
こうして、伊香刀美と天女は一緒に暮らし始めた。
そして、二人は遂に結婚をしてしまう。
その後、伊香刀美と天女には、
二人の男の子、そして二人の女の子が出来た。
しかし、ある日、
母となった天女は、伊香刀美が隠し持っていた羽衣を見つけてしまう。
天女は伊香刀美に騙されたと怒った。
そして、天へと帰って行ってしまった。
女房に逃げられてしまった伊香刀美。
その後、4人の子供達を抱え、
茫然自失の日々を送る羽目になってしまったのだった。
作品名:男の決意、そして … その結果 作家名:鮎風 遊