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男の決意、そして … その結果

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今日は久々の休日。
大輔は仕事のストレスを発散させ、そして心身ともリフレッシュしたい。
そのために、気晴らしにと亜伊火を誘い、この琵琶湖の北の湖までドライブして来た。

そして、もう一つの目的。       
それを強いて言えば、絵の題材探し。

こうして訪ねて来た小さな湖、それは余呉湖(よごこ)と呼ばれている。
琵琶湖の北に、羽柴秀吉と柴田勝家が激しい合戦を繰り広げた賤ヶ岳(しずがたけ)がある。 
余呉湖はその麓にあり、周囲6.4㎞の小さな湖。

今、晩秋の山々に囲まれ、その彩りを湖面に映し、神秘に静まりかえっている。
その湖畔に立っている大輔と亜伊火、二人の時間はゆったりと彼方へと流れ行く。 

「ねえ、大輔、この湖には伝説があるのよ … 知ってる?」
亜伊火がその性格に反し、声のトーンを落としてぼそぼそと呟いた。
大輔はそんな事を突然話し出した亜伊火に、少し驚いた。 
しかし柔らかく返す。

「ああ、羽衣(はごろも)伝説だろ、知ってるよ」

そして今度は、亜伊火はこんな事を言い出すのだ。
「その伝説の最後って、結構面白いんだよね …  
天女は、夫が自分の羽衣を隠していてた事を知ってしまうんでしょ」 

「その通りだよ」
大輔は特に力を入れずに相槌を打つ。

「それで、天女は裏切られたと怒ってしまい、
四人の子供と、夫の伊香刀美(イカトミ)を残し、天に帰ってしまうんだよね」 

「それで … どこが面白いの?」
大輔は聞いてみた。

「なんかね … 天女の気持ち、わかるのよねえ」
亜伊火はそう呟いて、納得したかのように一人頷いている。

「女の気持ちとは、そういうものなのかなあ」
大輔はよくわからないが、そんな事をぼんやりと考えている。
そして、そんな時に、亜伊火が大輔に質問を飛ばして来る。

「ねえ大輔、
天に帰ってしまった天女 …  

その後、彼女は … どうしたと思うの?」