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郷田三郎(G3)
郷田三郎(G3)
novelistID. 29622
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花、咲き乱れる世界

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 8

「それで、何か分かった事はあったんか?」
 東京から戻った翌朝、二人の研究員の顔を見るなり保志が尋ねた。
「まさか二日間も二人でイチャイチャしとったんやないやろな」と声をひそめて続ける。
 たちまちメイの顔が赤くなる。
「な、何を言ってるんですか先生。ちゃんと仕事はしましたよ。ねー加藤くん」
「そうですよ。仕事はしっかりやりました」
 いつもは冷静な加藤も心なしか声が上ずっている。
「ほお。つまり、仕事はちゃんとやったけど、それ以外の時間はイチャイチャしとったんやな。まあええわ、好きなもん同士一緒にいるんが一番や」
 先生それってセクハラです、と文句を言うメイを笑って放置して保志は問題の温室へ向かった。

※研究所の見取り図
 ですが、Pフォントだとズレちゃいますね。
 等巾フォントのメモ帳か何かにコピペして貰うと、解り易いかもです。
 ┏━━━┓┏━━━━┓┏━━━━┓┃
 ┃研究所┃┃ 3号 ┃┃ 1号 ┃┃発電機
 ┃ 兼 ┃┃ 温室 ┃┃ 温室 ┃┣┓
 ┃宿泊室┃┗━━━━┛┗━━━━┛┣┛
 ┗━━━┛┏━━━━┓┏━━━━┓┃小
      ┃ 4号 ┃┃ 2号 ┃┃川
      ┃ 温室 ┃┃ 温室 ┃┃
      ┗━━━━┛┗━━━━┛┃
━━┛ ┗━━━━━━━━━━━┓ ┃
     県道xx号線     ┃ ┃ N
━━━━━━━━━━━━━━┓ ┃ ┃W+E
              ┃ ┃ ┃ S

『どう見ても異常やな……』
 保志は咲き誇る花々を見てため息をついた。
「先生。一つ一つの花は大きいのですが、花の数は通常咲くのより随分少ない様です」
 いつのまにかメイと加藤が温室に来ていた。振り向いた保志が破顔する。
「なんや来たんか。で、花の数が少ない言うんはほんまなんやろな。ワシはあんまり花の数は気にしとらんかったケドな」
「はい、実はメイさんがずっと記録を付けていて気が付いたのもメイさんなんです。すべての花にそういう傾向が見られる様です」
「ほう、そうなんか。よう気がついたな」
「はい、ありがとうございます、先生。あたし、花を見ると数えるのがクセになっちゃって……」
「うん。――大きくて、少なくて、一斉に咲く。どんな意味があるんやろか」