直撃台風
かなり時間をかけて蒲田まで来た。あとから乗った二人から、若い記者は金を受け取らなかった。
渋滞の中をまたゆっくりと動き始めた。乗務員と記者は好きな作家と作品についてずっと話し続けていた。
「パソコンサイトで小説を公開できるんですが、そういうことは?」
まだ道路は混んでいて、多摩川を越えてから暫く経っていた。それは乗務員の発言だった。
「アナログ人間なんです。趣味も仕事も手書きです」
「若いのに、今時珍しいですね」
「運転手さんは?」
「暇つぶしにちょっとやってます。年寄りの冷や水です」
そう云ってから、田巻はサイト名とハンドルネームを云った。