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　信号で停車すると窓を外から叩かれた。OLらしい若い女性だった。
「蒲田なんですけど、お願いできませんか？」
「空車じゃないんです。申し訳ないけど……」
「運転手さん。方向が同じだから、乗せてあげたいですね」
新聞記者がそう云った。
「すみません。空車なんて一台もありません。ありがとうございます」
「じゃあ、友だちを乗せたということで、お金はお客様どうしでやり取りしてください。私はメーターの料金だけしか受け取れませんからね」
　田巻はドアを開けた。
「ありがとうございます！失礼します」