住めば都 ~整形外科病棟~
ピーンと張り詰めた冬の朝のように、到着した手術室はとても冷えていた。
(一体何度ぐらいに設定しているんやろ?体感温度は10℃ぐらいに感じるなぁ)
白い天井をまっすぐ見つめながら思った。
手術室は清潔第一に、医師やナースが快適に働ける環境にするために温度は低くしてあるのだそうだ。実際何度であったか聞くのは忘れてしまったが、10℃というのはあくまでも私の体感温度である。
寒いと感じるとくしゃみが出てしまうアレルギー性鼻炎の私は、
(こんな冷えたところ連れて来られたら、クシャミがでるやん。手術中に出たらどうするん!? メスを持つ医者の手元が狂うやんか!)
と内心心配したが、それは取り越し苦労のようだった。
すぐに麻酔が効いたからだ。
ベッドが止まったところには、昨日来てくれた見覚えのあるナースのほかに医者とナースが何人かいた。
「ボクが手術しますよ」
と言ってくれた信頼しているドクターは見えなかった。首が動かせる範囲で見たがどこにいるのかわからなかった。手洗いしたり、着替えたり、準備をしてるのだろうか。
ボクがすると言ってくれたんだから彼がきっと執刀してくれるんだろう。
作品名:住めば都 ~整形外科病棟~ 作家名:ねむり姫