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住めば都 ~整形外科病棟~

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「手術中」の赤いランプが点る部屋のドアがスーッと両側に開くのが見えた。
(あれ? まだ始まっていないのに、ランプが点いてる……)
意外と冷静に見ているものだ。
ナースは走るようにベッドを押して中に入った。

整形外科の病棟にはおじいちゃん、おばあちゃんがたくさん入院しているからだろうか、普段、病棟ではナースの声は大きくてはっきりゆっくり丁寧に、いろんなことを説明している。
ゆったり優しく動いているという印象だったのに、この手術室に行くときばかりは、すごい速さだった。

また次の部屋のドアもくぐった。
またくぐった。まるで、ベッドがトンネルに吸い込まれていくように。
何枚ドアをくぐったのだろうか。
それに、一枚くぐるたびに空気がドンドン冷えていくのだ。

ベッドは最終地に着いたようだ。

「こんにちは。お待ちしてました。昨日、お話した手術室のナースの佐藤です」
と昨日のあの美人で聡明なナースが優しく声をかけてくれた。
いよいよだ。
「あ、よろしくお願いします」
と少し緊張しながら挨拶した。
一度でも面識があるということは、ほんとに安心感をもたらすものなんだと思った。