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住めば都 ~整形外科病棟~

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 私はまず、パジャマを探して歩いた。
 スーパーのパジャマ売り場には、Yシャツ風かフリフリのフリルの付いた前開きパジャマがたくさんぶら下がっていた。しかし、私好みのシンプルかつ可愛いものが見つからない。仕方ないので、取りあえず無難なのを一つ買った。でも、気に入らない。
 次の日、やっぱり可愛いのが欲しいとまた違うスーパーに行ってみた。

 やっとのことで1枚だけ見つけた。高い場所にディスプレイしてあった。
身ごろや袖部分は普通のチェック柄だが、大好きな猫のイラストがついたボタンが可愛い。
「アッ! マッハッタナーズや!! ラッキー!」
と値段も確認せずかごに入れた。レジでそんなに高くないとわかってホッとした。3週間も猫と離れるのだから、持ち物のどこかに「猫」がいて欲しかった。
 その日、姉から電話があった。
「前開きのパジャマがあったけど、買っておこうか」
と。
「ううん、こっちにもあったからいいよ。可愛い猫がついてんのをやっとみつけてん」
「まあ!また、猫!?」
と姉の呆れた声が受話器から聞こえてきた。

 私は猫が大好きなのだ。家でも複数匹と一緒に暮らしている。病院には猫は連れて行けないので、せめて持ち物だけでも猫のものをとの思いで、猫、ネコ、ねこ……と探し回ったのだが、なかなかこれというのが見つからなかったのだ。
「そう、じゃ、前開きのシャツだけ買っとくわね」
「うん、そうして。こっちにも介護用品売り場に置いてあったから買ったんだけど、やっぱり『シャツ〜!』みたいで、全然お洒落じゃないのよね。それに合わせ部分はマジックテープやし、色まで付いているんよ」
介護用品だからわかりやすく楽に着れるようにしているのだろうが、それを着るのには抵抗があった。看護しやすいように「前開き」と指定した病院側の事情はわかるのだが……。

しかし、これも術後1日目だけで、2日目からは普段着ているシャツやパジャマでよくなったのだ。