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住めば都 ~整形外科病棟~

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 私たちがよくかけている麻酔と言えば、歯医者さんでの治療の時に、ブチューと歯茎に刺されるあの痛い麻酔のことではないだろうか。あの麻酔は治療後約2時間で取れてきて、食事も出来るようになる。今回かけた全身麻酔も、そのように時間がくれば自然に冷めるものだと軽く考えていたのは大きな間違いだった。そんなお気楽な人間は私ぐらいか……麻酔医が細心の注意を払って見てくれていたのだったのだ。

 執刀医は、すばやく、綺麗に出来ると、『ありがとうございます。先生のおかげです』と感謝され、難しい手術や初めての手術などを成功させてると脚光を浴びてマスコミに登場する。もちろん執刀医の優れた技術がなければ成功はないのだが、その陰で、その手術の成功を麻酔医は支え続けてくれていたのだ。
 感謝感謝。もちろん、ナースのすばやく的確な道具の手渡しや、その他様々な手術室内の仕事をテキパキとやっていただろうし、執刀医だけでなく、執刀医を助ける他のドクターなどすべての人たちのチームワークのよさが私の場合も成功に導いてくれたのだろう。
 執刀医は毎日のように病室を覗き、私に声をかけてくれた。しかし、あのユニークなキャラクターのA先生には会うことはなかった。もう一度会ってお礼を言いたいと入院中も思っていたが……。

 私が入院していた市立I病院の手術は多い。
 整形外科だけでも1日に最低4例はあるようだ。外来の広い待合室も予約制であるにもかかわらず、いつもいっぱいで手術待ちの人が多い。整形外科以外の手術もきっと多いことだろう。そんな中、A先生は忙しくされているのだろう。手術前の説明に来られたのも、夜8時ごろだったもの。