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住めば都 ~整形外科病棟~

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 そして、夜中。
麻酔が覚めやらぬ私には、左足に比べ右足の圧力がかなり強いように感じていた。これは血栓予防のためにしなければならない処置なんだから我慢しなければ……と頑張った。しかし、だんだん我慢できなくなってきた。夜中に何度もナースに来て貰うのは悪いなあと思っていたがとうとうこらえ切れなくなって、思い切ってナースコールのボタンを押した。

 真夜中だ。お部屋の他の人たちは静かに眠っている。
ナースはそうっとカーテンを開けて言った。

「どうしましたか」
「右足の器械のほうがとても強く感じるので、少し弱くして貰えますか?」
「そうですか…。でも、左右同じ力なんですよ」
「そうだったんですか。右足の方がだるくて、重くて、圧力が強いように感じたので……。 それじゃあ、我慢します」
「……そうですね。それじゃあ、痛み止めを入れましょうか」
と言ってくれた。
『これは痛みとは違う、ダルイという感覚なんだけどなあ。でも、この際、なんでもいいか、この状況が変わるなら』と考え、
「はい。お願いします」
と返事をした。

 しばらくして、座薬が効き出したのか、その後は気にならずに眠ることができた。
器械の圧力の違いで足がだるくて重いのだと思っていたが、座薬でぐっすり眠れたと言うことは、やはり手術の痛みだったのだろうか。
手術前の状況は、左ふくらはぎに強い痛みと筋力低下。右足には強い痺れがあった。
ところがどうだろう。手術後、不思議なぐらいスコーンと左足の痛みは消えていたのだ。左足の神経の通り道がカラッポになったような感覚だった。