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住めば都 ~整形外科病棟~

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ある本に『医者は痛みだけでは死なないというが、痛みは死よりも人間を苦しめる』と書いてあった。その通りだと思った。
痛みのあるときとないときの自分の感情の起伏にはビックリしたものだった。
痛いとき、もうこれから先、治らないんじゃないか、どんどん酷くなっていくのではないか……目の前が真っ暗になってドンドン落ち込んでいく。
逆に、痛みを感じないときは、『な〜んだ、後少しで治っていくんではないのかなぁ……』
などなどその気分の浮き沈みは自分でもビックリするぐらいだった。楽天家の私でもそんな風になる痛みだったのだ。

その痛みがペインクリニックで少しずつ薄らいできていたから、これでよくなっていくんじゃないかと楽観視していた時に聞いたペインの先生のこの即答は地獄に突き落とされたようなショックを受けた!!
注射では、痺れは取れないんだ……。
じゃ、もうマラソンは走れない。ゆっくりしか歩けない……。

痛くて痛くて我慢するのも辛くなって、それでも仕事には行かなくっちゃと無理して通った三日間。一日一日、痺れが酷くなるのが分かっていた。足の指が動かなくなって来た。歩いていても足先に力が入らない。
四日目、とうとうギブアップ! これ以上仕事に行ったら、一歩も歩けなくなるんじゃないかという不安で、周りに迷惑を掛けてしまうことを覚悟の上で病気休暇を取ったのだった。
そして、現在の仕事に早く復帰するためには手術しかないのではないかと泣く泣く決意し、こうして私は病院のベッドに横になっているのであった。

入院の前日まで、もう止めますと病院に電話しよう、いやいや早く治すために手術するんやんか、ここで頑張らないと……と挫けそうな自分を叱咤叱咤。
毎日の入浴の時には、鏡にまだツルツルの背中を--いえ、ちょっと脂肪が付き過ぎてる--背中を写しながら、ここに傷が入るのか……とため息をついたものだった。
友人とのメール交換では落ち込んだ気持ちに随分と励ましてもらった。
マイナス思考になってメールを打ち、返事をもらって立ち直るの繰り返しだった。随分迷惑をかけてしまった。しかし、「持つべきものは友」だ。ありがたかった。