住めば都 ~整形外科病棟~
4、涙の決意
ペインクリニックでの注射の治療もまだ続けていたので、次の治療の時にペインの医師に聞いてみた。
「痛みが少しずつ取れてきて、最近調子がいいんですよ」
「そりゃ、良かったね。最初、圧が強くてなかなか薬が入っていかへんかったからね」
「このまま、少しずつ楽になっていってくれるといいんですけどね。ところで、先生、この注射を続けると痺れも取れますか?」
「痺れは取れませんね」
ガーン!!
即答だった。そんなにすぐに答えを出さなくてもいいのに。
痛みを取ってくれている先生だったけれど、その言葉は冷たく心に突き刺さった。
(やっぱり、痺れは取れないのか……)
両足に酷く残っている痺れ。歩いているときも自分の足ではないような、フワフワ雲の上を歩くような、そんな感じ。
ふくらはぎの外側が痛くて、痛くて歩くのも困難だったとき、(この痛みさえ取れれば、痺れは残っててもいいわ)と思っていた。
人の心って移ろいやすいものだ。痛みが取れてくると気にしないと思っていた痺れが気になってくるものなんだ。ゲンキンなものだなあ。
作品名:住めば都 ~整形外科病棟~ 作家名:ねむり姫