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住めば都 ~整形外科病棟~

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その違いは、自分のMRIを見せてもらったたときにはっきりと分かった。

最初のペインクリニックでの診断もこの総合病院での診断も同じだった。
レントゲンでは分からなかった原因が、MRIではくっきりと写っていた。

「この白いのが神経が通っている管、脊柱管といいます。正常なところは白く見えてます。それを輪切りにすると…少し点々で黒く見えてるところが神経です」
MRIの画像をスクロールしたり、横断面図や縦断面図を何度も切り替えたり、拡大画像にしたり、と、主治医となった森田医師は最初の診察からとても詳しく説明してくれる。

「ところが、ここを見てください。白い管が全く見えず、ほら脊椎と脊椎の間から薄くもやもやっとした暗いものが出ているでしょう? これがヘルニアです」
「そのヘルニアが脊柱管を押さえて中の神経を圧迫しているのですよ。それがお尻の横を通ってふくらはぎの外側に続く神経を圧迫して痛くなっているのですよ」
医者の言うとおり、素人の私の目にもかわいそうなぐらい圧迫されている神経が見える。その巨大なヘルニアの画像を見せられて、半分は観念した。

以前、ペインの先生も
「こんなに大きいと、今流行のレーザーでも焼き切れません」
と言っていた。
整形外科の森田医師も
「こんなに大きいと内視鏡で切っただけでは、またすぐに中に残っている部分が出てきてしまうかも知れない。キレイに全部取ってしまったほうが繰り返さずに後のためにいいと思いますよ」
と言いながら、
「同じような手術をした人の術前と術後の写真です。神経の管がほらこんなに綺麗に白く丸くもどっているでしょう?」
と、整形外科の森田医師は詳しく詳しく話してくれた。
そして、
「手術をたくさんしたからと言って給料が増える訳じゃなし、患者さんが痛みが取れて治ったらいいなあと思って、手術を勧めるんですよ。それに、ここまで酷くなかったら勧めませんよ。このまま長く放っておいたら、神経が傷ついたままになってしまうかも知れへんしね。早い方がいいと思うよ」
待合室にはたくさんの患者さんがまだ待っているというのに、不安でいろいろ質問をぶつける私に30分以上も納得いくように話してくれた。その真剣な対応に徐々に、手術は嫌だと強く思っていた気持ちはゆらいでいった。