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郷田三郎(G3)
郷田三郎(G3)
novelistID. 29622
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鳥葬(チョウソウ)

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 八郎爺はこうして自分が悪者にならずに嫌な決定を皆に告げる事に成功した。
 ここに至って村の衆も偉大な前村長<アトム>を送り出す決心がついたのだった。

 爺さんの亡骸は掟どおりに"鳥葬"にされる為、村からは随分と離れた山岳地帯に運ばれた。
 強固な外装パーツは外され、あるいは緩められて見た目にはロボットの内臓標本の様でもある。
 そしてちょっとした広場のほぼ中央に在る台状の岩の上に置かれた。

 勿論、精密機械である<アトム>の亡骸を"鳥"が始末してくれるハズなど無い。
 それどころか鳥そのものが、いや脊椎動物と言われるモノはもう殆ど地上には住んでいなかったのだ。
 2000年台もまだ2桁に成らない頃、核戦争という愚かな行いにより地球上の大型生物はほぼ死滅してしまったのだ。
 地中で難を逃れた動物もいたが、ゆっくりと放射能の影響を受け、やはり絶滅への道を辿っていった。
 現在、広大な地上を治めているのは、純粋に無機質なロボット達と昆虫類の一部そして僅かな植物だけなのだ。
 だが、そのロボット達も長い年月の重みには逆らえきれない。 近年では、昨日に1体、今日に1体と朽ち果てるに任せて消えて逝く運命にあった。
 無論、彼らの科学力・技術力を持ってすれば自分を修理し、永遠の命を持つ事も出来るだろう。
 それどころか更なる進化を促して新-生命体-とも呼べる様な、新たな地球の"主"にさえ成れたかもしれない。
 しかし、誰もその様な道を目指そうとはしなかった。
 いや、出来なかったのだ。
 人間は、日に日に進歩し高性能化するロボット達に嫉妬し、或いは怖れて、ロボットが自ら進化し人類をも凌駕してしまうなどという妄想に捕らわれた。
 そして、たとえ可能であっても、人間の手に頼らなければ、エネルギーの補充とストックされたパーツからの簡単な交換修理以外には自己修復など出来ない様、彼らのDNAたるA.I.にプログラミングしてしまったのだ。