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釣った天使

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好転


天使は「カナエル」という名らしい。俺はカナエと呼ぶことにした。カナエは約束通り籠の中で大人しくしていた。

食事はどうするのかと聞くと、食べ物はいらないから、俺が風呂に入ってきれいになった時にちょっと優しく撫でてくれるだけでいいという。普段の俺は汚いのかと一瞬思ったが、天使なのだからと納得した。

俺はシャワーを浴び、鼻歌を歌いながら、浴室から出た。目の前にカナエルがちょこんと座ってこちらを見ている。

なかなか可愛いじゃないか。俺はカナエをに「よお、可愛いじゃないか」と三十過ぎの今まで生きてきて数少ない彼女にも言ったことのないセリフを言った。

カナエは、ふわっと飛び上がり、俺の目の高さで羽ばたきながら寝室に向かった。小さなお尻が丸くて妙にセクシーに見えた。

俺はこれが人間の女の子だったらなあと、一瞬思った。マンガだとベッドのそばで来るとパッとセクシー美女に変身するかもしれないのになあと思いながら、ベッドに腰をかけた。当然人間には変身せず、カナエは目の前でホバリングしている。

「天使なのだから、そんなに羽ばたかなくてもいいのではないか」と俺は言った。
カナエは、痛い所をつかれたという表情をして、「ワタシ、カキュウテンシ」と言った。

カナエは俺の膝の上に乗り、羽根をたたんだ。程良い重さが膝にここち良い。
「ほう、級があるんだ」と俺は、かなえの頭から羽根に向かってなでながら聞いた。

カナエはネコのようにグルグルという音を間に入れながら話した。
「上級、中級、下級アル、私タチ普通ノ天使ハ下級デス。上級ニハ……」と舌をかみそうな名前がいくつか出てきた。
「中級ニハ……、ソシテ私タチ下級ノ中デモ私ハ下ノ方」とカナエは言った。

俺は羽根の付け根の所をなでながら聞いていた。だんだんと疲れがとれて、頭もすっきりしてきた気がする。カナエは満足そうに居眠りを始めた。

俺は、頭がクリアになって、やりかけてレイアウトに苦心していたプレゼンの全体仕上がり図が浮かんだ。風呂に入るまでは、もう寝ようかと思っていたが、眠気はなかった。

カナエを起こさないようにそうっと膝からベッドにおろし、デスクに向かった。スイスイと仕事がはかどった。自分でも驚くような仕上がりで、満足してベッドに戻った。

カナエをソファーまで運び、そこに寝かした。カナエはそれでも目を覚まさなかった。
「疲れたのかな。それとも疲れがとれたのかな」と思いながら、俺はベッドに戻った。

あれからベッドに入って、すぐ寝てしまったらしい。朝はいつになく快調だった。
作品名:釣った天使 作家名:伊達梁川