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釣った天使

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休日


連休の初日、俺は朝早く起きた。ふだんはぐずぐずとなかなか布団から出ないのに、目が覚めるとすぐに着替えた自分がおかしい。ヒゲをそるために鏡を見ると、にたにたと笑い顔になっている自分に気付いて、「バーカ」と自分に言ってみる。

上京する前に過した田舎の山に向った。昔は狭かった道も立派なアスファルト農道になっていて、目指す山の麓まで車で行くことが出来た。

丁度お昼だったので、昔自分の家の畑だったが、今は手放して他人の家のものになっている畑の桃の木の下で、途中で買ったサンドイッチを食べた。なつかしさと、これから始まる成果を頭に描いて、またまたニタニタしながら昼食を食べた。そこから約一時間で頂上へ着く予定である。

昔登った道を思い出しながら歩いて登った。さすがに都会暮しと運動不足で、何度も休憩を入れた。

予定より大幅に時間をかけ、漸く頂上にたどりついた。頂上は何を祀ってあるのか分らない祠があって、その後ろに少し丈の高い木があるだけで、あとは雑草と薮があるだけだった。適当な窪みを見つけ、釣糸を上げた。

空気が澄んでいると見え、いつまでもエサは見えたので、目一杯糸をのばしたらさすがにエサは見えなくなった。

予想はしていたものの、やっぱりあの場所と違い、何度も糸を引いているものの、手応えは無かった。少し風が出てきて寒くもなってきた。陽が西の方に移っている。

早めに下山したほうが良いかなと思って、糸を引いた時、思いがけない強い手応えがあった。
「来たっ」と俄かに興奮して引っ張った。糸が指を押して痛い。俺は棒を抜くとグルグルと糸を巻いていった。
この手応えは何だろうか、とんびか、鷲か。暴れられたらどうしよう。あの籠に入るだろうかと、ちらっと鳥籠に目をやり、半分ぐらい残ったスポーツドリンクのペットボトルを引き寄せた。いざとなったら武器にするつもりである。
 
作品名:釣った天使 作家名:伊達梁川