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釣った天使

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程なく男がエサを二つ持ってやってきた。俺は目論見を実行するために釣糸を上げず、男に質問をした。
「鳥を釣るなんて発想はすごいですね」

男は、少し得意そうな顔つきになったが、何も言わない。
「あまり、お金にならないのじゃないですか」
「お金なら、ある」

男は、ぶっきらぼうに答えると、帰って行った。

男が小屋の裏に行ってしまったのを確かめて俺はそーっと園を出て車まで走った。その音を聞きつけて男が出てきた。

「こらあー、たたりがあるぞー」と言う男の声を背に聞きながら車を走らせた。釣り糸と二つのエサを手にして少しの罪悪感とわくわくする気持を覚えながら、迷路のような山道を低いところ低い所へと走って、どうにか地図に載っている町についた。

作品名:釣った天使 作家名:伊達梁川