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茶房 クロッカス その2

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 お昼になる少し前に京子ちゃんは、来た時よりはずいぶん明るい顔で帰って行った。
 ランチタイムが終わってのんびりしている時、ふいに薫ちゃんが話し始めた。
「ねぇマスター、京子ちゃん大丈夫かなぁ? ああ見えてきっと実際は、かなり辛いんじゃないかと思うんだー」
「うん、そうなんだろうなー。――でも、どうしてやることもできないしなぁ……」
「うん、そうなんだよねぇ……」
「ところでねぇマスター、話違うけど……、私考えたんだけど、やっぱり私がいなくなるとマスター淋しいんじゃない?」
「うん、まぁな……、でも仕方ないだろ?」
「それでね、私さぁ、沙耶にここで働くように頼んでみようかぁ? この前話した時、バイト探してるって言ってたし……どうぉ?」
「そりゃー沙耶ちゃんが来てくれれば嬉しいけど……、給料安いからどうかなぁ?」
「あ、マスター、そりゃないんじゃないの?  私、その安いお給料で働いてるんですけど!」
「ああ、そうだったよなっ! ごめん、ごめん」
「もぅーっ!」
 そう言うと薫ちゃんは、
「あはは……」と豪快に笑い、俺もつられて一緒になって笑った。
「じゃあ聞いてみとくねっ」
「ああ頼むよ」
 そう話がまとまり、俺は正直少しだけホッとした。

 夕方いつものように重さんが顔を見せて、少し喋った後、ちょうど時間になった薫ちゃんと一緒に帰って行った。
 店を閉めて帰る時、以前に比べてずいぶん外が明るいことに気付いた。
《陽が長くなったんだなぁ》
 いつの間にか本物の夏がすぐそこだった。