カナダの自然に魅せられて ~リスを探して10日間~ (1)
ダウンタウン(日本では直訳で下町と思われるが、ここでは中心街の名前だそうだ。)メインストリート・ロブソン通りにある一つ目のデパートに入った。
美月は前もって、お土産を売っているお店を探していたのか、スッスと案内してくれる。こちらは何がなんだか、どこに行ってるのかさっぱりわからない。
「美也さんはどんなお土産が欲しいん?」
と聞いてくれる。やさしいなぁ。私が欲しいのは…と、ガイドブックに載っていたいくつかの写真を示す。
「それならここかな。」
と連れて行ってくれたのが隣のデパート。
バンクーバーのロブソン通りのデパートは、阪急・阪神・大丸・三越伊勢丹…と並んでいる梅田のように、大きなデパートが隣同士に立っていて、地下で繋がっていた。
隣のデパートに行ってみると、あるある、私が一番欲しいなぁと思ってたぬいぐるみたち。大きいのから小さいのまで可愛いぬいぐるみがたくさん並んでいた。それから、トーテムポール、ドリームキャッチャー、それにサーモンの袋詰めに缶詰、テリーヌ。そしてメープルシロップ…。カナダの代表的なお土産が揃っていた。
まず、ぬいぐるみのところへ行った。着せ替えできるものもあり、スノーボードしているものもあり…あ~、お土産にしないで私が欲しいなぁと思うほどだ。そして、服や帽子やどこかにカナダの国旗のマークがさりげなく付いていた。
国旗のカナダカエデの葉っぱはみんなに愛されてるんだ、どこかの国のように論争の元にはなってないところがいい。
私の娘は二人とも二十歳を過ぎているけれど、二人にはこのぬいぐるみを買った。リスとトナカイだ。動物好きの娘たちだから気に入ってくれると思った。予想通りだった。
同じ頃、トロントに短期留学していた末っ娘は、
「これ、欲しかってん。でも、高かったからよう買わんかったわ。」
「ほんま! トロントにも一緒のがあってんね。これ選んできて良かったわ!」
この店で、私はほとんどのお土産をそろえた。
おまけに、バンクーバーのロゴ入りの素敵なTシャツがあったので、それは自分用に買った。
合計金額は…!!日本円に換算すると目玉が飛び出しそうだけど、私がカナダに来ていると知っている人の分はとりあえず揃えた。
このとき、デパートなのに、品物の個包装はしてくれなかった。
「袋は何枚要りますか」
と聞かれたから、
「とりあえず10枚」
と言った。お店の人はビックリしていたけど、10人以上に渡すのに、さて、どうしよう、渡し方考えなければ…。
カナダはすべて簡略化されていて、お土産だからと言って丁寧に包んではくれない。一つの大きな袋にどんどん放り込んでいくのが普通らしい。
これでヨシッ!あと買うものは、大事な人へのお土産と、みんなで食べるお菓子を残すのみ。
「よ~し、これでOK!」
ふと、姉を見ると、まだ迷っていて、何一つ決めていない。これも性格正反対。姉は、迷って迷ってもう一つ迷って、結局決めずに他の店に行こうとする。
美月は、二人の買物ぶりを見ながら、
「あっちで休んでるわ。」
と、一緒に選ぶのを諦め、向こうのベンチで休んでいた。私も、疲れたので、そのベンチに座って、姉の買い物が終わるのを待っていた。
しばらくして、美月が言った。
「早くしないと、船長さんとの待ち合わせ時間に遅れるよ~。さっき、1時間遅らせてもらったんやから…」
と、少々おカンムリ。
姉も、自分のTシャツは買ったようだが、後はまだ迷っていた。
作品名:カナダの自然に魅せられて ~リスを探して10日間~ (1) 作家名:ねむり姫