カナダの自然に魅せられて ~リスを探して10日間~ (1)
旧駅舎を出て、線路沿いを歩く。
線路のすぐ下は海。線路と海の間には小さな岩が申し訳程度に積んである。
関西の海辺の感覚では、そんな程度の護岸なら台風が来たら一発で壊れると思う。しかし、ここは台風も嵐もやってこないのだろうか。
線路まで波が上がってくるなんて想定していないような護岸だった。
線路沿いを歩きながら、ここでも私たちは対照的な姉と妹だった。
姉は線路沿いのあちこちに自生しているブラックベリーを見ては、
「あ~、あった!ここにもあった!」
と嬉しそうに叫ぶ。
「これ美味しそう!食べてもいいかなあ」
というが早いか、パクリと口へ。
「あま~い!!おいしい!~!」
そんな姉に船長さんも苦笑い。
完熟のベリーだからそりゃあ美味しいのだろうけど…、
でも、お姉ちゃん、それはちょっとやめてほしいなぁ…。と妹として思う。
カナダはベリーの国だとカナダに行って初めて知った。
市場やスーパーにはひと山5CA$(だいたい500円弱)でブルーベリーや、ブラックベリーやラズベリーがタップリと手に入る。
日本では考えられないくらいの安さだった。一山といっても、ホントに山盛り、こぼれ落ちそうなくらいに積んである。
このホワイトビーチの道端にも野生のブラックベリーがあちこちに生えていて、緑から赤、赤から黒へと変化していく様が見て取れた。
その黒く熟れたベリーの実を姉はパクリと食べてしまったのであった。
そんな姉を今まで見たことがなかった。姉も外国に来てハイテンションになってたのかなぁ。
妹の私はといえば、ベリーを口に入れた姉を横目に、カメラを構えて、カモメやらグースやら追いかけていた。
カナダのカモメは、日本のカモメより、一回り大きく、嘴も目つきも鋭かった。
顔をこちらに向けられるとちょっと怖い!
それに、初めて見た鳥…動物園でも見たことはなかった。グースだと船長さんが教えてくれた。そのスースが浜辺をたくさん散歩していたのであった。
あとでわかったが、グースとはガチョウの一種らしい。
大きさはアヒルよりちょっと大きめ。首は長くてスマート。羽の色は黒と茶色が混ざった鳥だった。
グースの羽は、ダウンジャケットや羽毛布団に使われるのだそうだ。
このときは20羽ぐらいが、集団で同じ方向にゆったりと動いていて、一羽が方向転換すると、他のグースもくるっと向きを変えて後を追っていた。
日本ではほとんど見られないが、カナダではポピュラーな鳥のようで、次の日に行ったスタンレーパークでも、まず目に入ったのがこのグースだった。
右にカモメを追いかけ、左にグースを追いかけ、何枚も写している私にも船長さんもあきれたようだった。(なかなか思ったとおりの写真が取れなかったんだもの…(^^;)
客観的に見ると、こんな私たちはちょっと変わった姉妹なのかも知れないなと思うようになった(^^;)
作品名:カナダの自然に魅せられて ~リスを探して10日間~ (1) 作家名:ねむり姫