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カナダの自然に魅せられて  ~リスを探して10日間~ (1)

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古い駅舎に入ってみた。
駅舎の半分は売店に、四分の一は写真の展示場。もう四分の一の一番奥には駅長室があった。
手でグルグルと回す旧式の電話のハンドル、送話器は本体に、受話器はコードの先に付いたレトロな電話器があった。
無線機もあった。大きな机と古びた皮のスーツケースまで置いてあった。

私が興味を引かれたのは、駅長室ではなく、壁に展示されているたくさんの写真だった。
どの写真も、砂浜に人が集まり砂で何かを作っている写真だ。
砂浜にところ狭しと人が集まっている。何千人いるのだろうか…。

驚いたことに、このビーチは遠浅の海だったのだ。潮が引くと、何百メートルも先まで砂浜になるらしい。
そうか!さっき見た桟橋のずっと先っぽまで砂浜になるということか…。
だからあんなに遠くにヨットが繋がれてるんだ。…やっと納得できた。

潮の引いた砂浜は水を含んで固まりやすくなっていて形を作りやすかったのだろう、砂の造形コンテストがその昔催されていたらしい。
広い広い砂浜。そこいっぱいに集まった人、人、人。
その人たちが思い思いに砂の山に向かって砂の彫刻をしている写真だった。

私たちが訪れた時は満潮に近かった。だから、砂浜はほとんど見えなかったのだ。
砂浜より陸地側には芝生が植えられていて、泳いでいる数人の人たちは、砂浜にシートを敷くのではなく、芝生に敷いてくつろいでいた。

写真のようにとてつもなく広い遠浅のビーチを私は見たことがなかった。
見たいと思った。満潮と干潮のその著しい差を見たいと強く思った。

駅舎を出る前に、売店に寄った。
奥の部屋に入る前に、チラッと素敵なおみやげを見つけていたのだ。
朝買ったドリーム・キャッチャーよりずっと大きくて、綺麗な可愛い石が付いたものをもっとよく見てみたいと思っていた。
店内には、たくさんぶら下げてあった。その中でも羽の色と石の色が一番綺麗なものを買った。
包装は例の如く、薄い紙でドリームキャッチャーの羽が傷まない程度に包んだ簡易包装だった。

もう一つ素敵だったのは、絵葉書だ。
干潮になって現われた波紋が綺麗に浮き出され、所々に残った海水がキラッキラッと朝日に輝いている素敵な写真。幾何学模様のような不思議な写真だった。それは自然の成せる業だ。それをそのままカメラに収めた写真家はプロの名に値すると思った。

もう1枚は、子熊の兄弟が木の間からこちらに顔を向けている写真。愛くるしい顔がとっても気に入ったのだった。
カナディアンロッキーに行ったとき、こんな子熊に出会えたら嬉しいなと思った。

その2枚を買って、駅舎を出た。