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茶房 クロッカス  その1

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「――そんな馬鹿なことがあるもんか!」 
 俺が呆れたようにそう言うと、
「俺だって、信じたくはないさ!」 
 淳ちゃんが頭を抱え込んだ。
 もう、今日はどうなってるんだ? みんなが頭を抱え込む日か…?
 淳ちゃんの話というのが、どうやら奥さんの礼子さんが浮気をしてるらしいと言うんだ。
《あの、明るくて気立ての良い礼子さんが浮気だなんて、俺には考えられない》
「本当に間違いないのかぁ? 何か証拠でもあるのかぃ?」
「実は、いつもうちで花を買ってくれているお客さんがいるんだが、その人がつい先日、あるホテルに入る礼子を目撃したと言うんだよ。それも見知らぬ男性と一緒だったと」
「………」
「俺だって最初聞いた時は耳を疑ったよ。でもその人が絶対に礼子に間違いないって言うんだよ。俺はどうすればいいんだ?」
「………」
「なぁ悟郎ちゃん、何とかしてくれよー」
「そう言われてもなぁ……」
 俺は途方に暮れた。
 町田夫妻には子供がいない。もう、結婚して何年にもなるのに授からなかったらしい。しかし、二人は傍目にも仲良く幸せそうだった。そんな二人なのに、礼子さんが浮気だなんて……。
 やっぱり俺は信じられなかったが、考えた末に、
「礼子さんに直接聞いてみたらどうだ?」
 そう言ってみた。すると淳ちゃんは、
「悟郎ちゃん、頼むよー〔頭の上で手を合わせ〕悟郎ちゃんが聞いてくれよー」 
 泣きそうな顔でそう頼むのだった。
 俺は仕方なく「じゃあ、さり気なく聞いてみるよ」と約束してしまった。