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茶房 クロッカス  その1

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カラ~ン コロ~ン
  
「よう、悟郎ちゃん。暇そうだなあー」
 そう言って重さんと入れ違いに、花屋のマスター町田淳一が店に入って来た。
 淳ちゃんの店は、うちの店からすぐ近くの商店街の中にあって、礼子さんと夫婦二人で経営している。
 礼子さんは時々店の花を取り換えに来てくれているし、旦那さんの淳ちゃんも暇な時には、時々俺の淹れたコーヒーを好んで飲みに来てくれている。
「ああ、いらっしゃい。今は店はいいのかぃ?」
 俺より少し年下の淳ちゃんに、俺は気安く声を掛けた。
「ああ、ま、ちょっとなら大丈夫さ。礼子がいるから――」 
 そう言いながら淳ちゃんはカウンター席に着いた。
「――コーヒーを頼むよ」 
 そう言うと、大きなため息をついた。
 俺はコーヒーの準備をしながら、何かあったような気がして、
「どうかしたのかぃ? 溜息なんぞついて……」と聞いた。
「悟郎ちゃん、ちょっと話を聞いてくれるか?  但し、絶対秘密だぞっ!」
 淳ちゃんのやけに真剣そうな顔に、俺は思わず顔が引き締まり、迂闊に返事ができないと思った。
「淳ちゃん、ちょっと待ってくれよ。秘密って……、それを俺に言ってもいいのかぃ? 俺そんなに口堅くないぜ!」 
 俺は不吉な予感を感じて敢えてそう答えた。
「悟郎ちゃん、そんなこと言わないで聞いてくれよー」
 情けない顔で淳ちゃんが言うので、仕方なく俺は話を聞くことにした。