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郷田三郎(G3)
郷田三郎(G3)
novelistID. 29622
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ザ・ファイナリスト

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 女優は滑稽なまでにしなを作って私を誘惑しようとしたが……。

 あっけなく勝負がつくといよいよ本物のファイナルだ。
 男か女か、あるいはそんな区別は無いのか、エイリアンと思しきソイツは日本語で私の頭の中に直接話しかけてきた。

『オメデトウ、キミガ、コノ チキュウノファイナリストダ』
 エイリアンのコトバは抑揚がないものの少し楽しげな雰囲気を醸していた。
『サテ、ショウヒンハナニガノゾミダ? デキルコトナラナンデモカナエヨウ』
 私は一もニもなく応えた。
「全てを元に戻せ! 消えて行った人々を、優しい母親達を、友人達を、ヨーコを!」
 エイリアンは少し困った様な表情をした。
 ホントに困ったのかは知らないが、人間が困ったときにする表情に似ていたのだ。
『ヨイダロウ。
 スウネンブンノ、ショクリョウガ、カクホデキタ トオモッタノダガ、ザンネンダ。
 ダガ ワタシガカテバ ナンノ モンダイ モ ナイダロウ。
 ワルイガ キミノ シコウパターンハ、トックニガクシュウズミダ』
 すると私が勝てば本当に望みどおりになるのか?
 消えて行った人々はどこかに監禁されているだけなのだろうか?
 私の氷の心はあっという間に融けていった。
 勝てばヨーコは戻ってくるのだ。
 逆に負ければ私も食料にされるという事になる。

「サアハジメヨウ! キミノシコウヲ ヨミトルソウチモ テイシサセタ。
 ワレワレハ、フェアナ、スポーツ エイリアン ダカラナ――」
 本当だろうか、突然舞い込んできた一縷の望みに私は完全に舞い上がった。
 氷の心は融けた。
 頭の中は真っ白になる。
 ここまで、一度たりとも負けなかった自信など、憶えたてのフーセンガムの様に破けて萎んだ。