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郷田三郎(G3)
郷田三郎(G3)
novelistID. 29622
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神々と悪魔の宴 ⑧<汚れなき神の気まぐれ>

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「ええ、本当かい? でも、やっぱりパソコンのソフトなんだからそろそろ限界なんじゃないか」
 父親はおまたまたビールをグビリと飲んだ。
「お父さんは遅れてるね。今のパソコンはスゴイんだよ。去年のモデルだと知的生物が科学に目覚めると、環境データの不備が解っちゃって、顕微鏡とかを作った時点でソフトが暴走して文明が崩壊しちゃったらしいけど、このハードとソフトでは素粒子まで忠実以上に再現されているから、中の知的生命体が素粒子論や量子力学なんかに目覚めても、ニセモノだなんて全く気づかないハズさ」
「ふーん、そうなのか。じゃあお父さんの会社で作っているかぜ薬なんかも、病気をこの星にばら撒けば今までに無い特効薬を開発してくれるかも知れないね」
 自信たっぷりに語る子供を見て、父親も少し誇らしげな気持ちになっていた。
「お父さん、でもその前にカゼという病気を徹底的に分析して、パソコンの中で再現しなきゃいけないんだよ」
「ダメか。」
「うん。それでねぇ、お父さ」

「……」

 そんな微笑ましい親子の光景をパソコンのモニターで覗き見している者が居た。
 細かいディテールを除けば全体のシルエットは紛れも無く人間の子供と言って良いだろう。
 子供はしばらくモニターとにらめっこをしていたが、やがて諦めた様に隣の居間でビールを片手に汗を拭きながらTVを見ている大人に声を掛けた。
「ねぇお父さん、パソコンがフリーズしちゃったみたい」
「――ううん、」
 飲みかけのビールを片手に持ったまま父親が覗きに来た。
「ふう――、どうしたんだい?」
 父親はお風呂上りの、キンキンに冷えて水滴のいっぱい付いたグラスでビールをグイと飲んだ。
「うん、夏休みの宿題のね、この宇宙シュミレータに細かいデータを入れすぎちゃったみたいなの。いっこの星をクローズアップしてたら動きがおかしくなっちゃって……」