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郷田三郎(G3)
郷田三郎(G3)
novelistID. 29622
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神々と悪魔の宴 ⑧<汚れなき神の気まぐれ>

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 父親はすこし残念そうに呟いてまたビールをゴクリと飲んだ。
「うん……。でも他にも銀河はあるから。えーとね。時間をうんと早く回すようにしてね、三週間くらいで現実の宇宙に追いついてね、未来のシュミレーションも出来るようにするつもりなの――」

 その頃に比べると、現在の宇宙は多くの銀河が膨らんだ宇宙に拡散して、随分と安定している様に見えた。
「お父さん見て」
 子供がポインタで巨大な空間の端の方に或る、中程度の銀河の、あまり大きくない恒星系に焦点を当てた。
 理論的には光の速さの数万倍のスピードで視点が移動している事になる。
 そこでひとつの惑星にズームインして行くと、惑星のある部分には人工的で未来的な建造物が所狭しと林立し、他の部分では、手付かずと思える大自然がゆったりと悠久の時を満喫している様に見えた。
 このシステムではクローズアップすると、時間の進行が遅くなり、映像が惑星の表面を捕らえるとそこに流れる時間と同調するように出来ているのだ。
 
「お父さん、この星は僕がデータを与えて生物が早く進化するようにした星なんだ。さっき見たときにはすっごく大きな恐竜が沢山出てきてすごかったんだけど、いつの間にか人間みたいな生き物でいっぱいになってる!」
 3Dホログラフ・モニターの中では細かいところでは多少の違いは有るもののシルエットとしては人間と言って差し支えない生物が現代人並の文化を築きあげていた。
 机上に置かれた2Dモニターの端にはポイントした星系や惑星の細かいデータがわかりやすく表示されている。
「本当だ。太陽系の地球みたいな環境だから、進化する生物も似て来たりするのかもしれんな」
 父親はやや大袈裟に感心して見せた。もしかすると子供に対して優しさをアピールしているのかも知れない。
「うん、すごいよホラ。なんかいろいろ発明とかまでして、もしかすると僕たちの世界より進んでるかもね?」