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日出づる国 続編

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阿仁


「かか、兄ぃと酒田の港まで行って熊皮を売ってくる」
「待ち! なんやらおぞましいもんが近づいてるようや。おしら様にお尋ねしてるんやけど、よう分からん。大ばばに聞いてみる」

 嘉香と陽が阿仁に来て7年になる。
 そして、蝦夷の神、おしら様を長老の大ばばから引き継いだ。
 おしら様のご神体は、桑の木で作った1尺程度の棒の先に馬の顔を彫ったもので、両手に持って廻し、その馬面が向いた方向へ狩りに出る。地震や火事の予知も行う。

 大ばばが巫術を取り行っている間、嘉香、夢兎、それと長老たちは固唾をのんで見守っていた。

「確かに得体のしれないおぞましいものが近づいている・・それがなにか・・・分からぬのぉ。それと、戦がまもなく始まる。敵は南方と西方からやって来るようだ」
「戦! またもや大和連合軍がやって来るのであろう」
「こんな山国に戦を仕掛けて、そんな価値があるのでしょうか」
 21歳となった夢兎にとって、戦は初めての経験である。

「大和王権にとって、彼らにまつろわぬワレらの存在が目障りであり、何よりも豊富な資源を欲しているのだ」
「戦となれば敵はおそらく、大仙から横手あたりに布陣するであろう」
「直ちに部族間で連絡を取り合い、協力態勢を取らねばのぅ。相手が勢いづけば、ここも侵略されてしまう」
「分かりました。吾が行きましょう」


 陽は毎日馬を駆って近くの山に上がり、夢兎の帰りを待ちわびていた。

「かか、夢兎が帰ってきた!」
 遠くに夢兎の姿を認めると馬で山を駆け下り、勢いよく嘉香に知らせるや、竹かごを編み始めた。
 ようやく部落に帰ってきた夢兎を見ても、知らんぷりを通している。まるで仕事が忙しくて、夢兎には興味がないかのように。

 嘉香はすぐに部落民を集め、夢兎の報告を聞いた。陽も最後尾からこっそり夢兎に視線を送っていた。

「敵は大和連合。といってもほとんどは上毛野国の国人らしい。多賀柵を強化している。それと海上から100隻ほどの戦船が居並んで来ているらしい。まずはそ奴らを上陸させないでせん滅する作戦が取られた。我らは胆沢に集結し、多賀を攻める。狩猟に慣れている我らは部族ごとに拡散して、奴らをかく乱する!」
「どの位の人員が必要か」
「奇襲作戦により、精鋭10人! それと犬たちを連れていく」

 腕に自信のある若者たちが名乗りをあげていく。陽も颯爽と名乗りを上げた。
「陽、いくつになる」
「13じゃ」
「なら今回はだめだ、16になるまで、待て」
作品名:日出づる国 続編 作家名:健忘真実