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郷田三郎(G3)
郷田三郎(G3)
novelistID. 29622
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神々と悪魔の宴 ⑤<太陽と月と虹の話>

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 ティアがこんなに弱って、痩せてしまったのはもちろん恋のせいもあるでしょうが、きっと太陽の光を浴び続けたからに違いありません。
 皆は相談してティアが二度と太陽に会いに行かぬ様に見張る事にしました。
 そうしてティアは太陽を想って泉の奥で泣き続け、太陽はあまりに熱心にティアを探したためにあちらこちらに草木も生えぬ砂漠を作ってしまったのでした。

 水の精霊の長はこれはいかんと思い、ティアと月との婚礼を早々に行う事にしました。
 ティアを月に嫁にやり太陽に事情を話せば天空でも一二を争う大物である太陽であるからきっと分かってもらえると考えたのです。
 しかしそれは却って事態を悪化させるだけでした。
 婚礼の日を明日に控えた朝、ティアは皆の目を盗んで泉を抜け出してしまったのです。
 そして泉からせせらぎを抜け小川に出ると一気に大河をくだり太陽の見えるところまで駆けて行きました。

「太陽様、私は明日許婚のお月様と結婚させられてしまいます。でも私にはもうそんな事は出来ないのです。太陽様以外に私の良人となる方を考える事は出来ないのです」
 ティアが涙ながらに言うと、太陽も、
「ティア、私がどんなに貴女を探した事か。貴女に逢いたいが為に、私は自分の仕事も忘れて、幾つかの国を焼き払い消滅させてしまったのです。そう、貴女が居ないと私は太陽としての仕事が出来なくなってしまう。さあ、私のもとへ飛んできておくれ!」

「はい、ただ今」
 ティアは返事をすると地面を蹴り、高い空へと飛んで行きました。
 水の精霊が空を駆ければ、即ち雨雲を呼ぶ事になりなります。地上は瞬時に暗くなり、雨が降り始めました。
 ティアはその雨雲の上を駆けて行きます。その顔に歓喜の表情を浮かべて――。
 そして、太陽もあらん限りの光を注いでティアを迎えようとしたのでした。

 しかし、やはり水の精霊と太陽が結婚する事など出来るはずがないのでした。
 水の精霊たちもただ好きというだけで夜の世界に遊んでいたのでは無かったということです。