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郷田三郎(G3)
郷田三郎(G3)
novelistID. 29622
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神々と悪魔の宴 ④<野球の神様>

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 ――翌年の甲子園大会の二日目。

 グランドがかなり荒れているのは前日の初日が、白熱した延長戦のオンパレードだったのを物語っていた。
 実況のアナウンサーも少々疲れ気味のようである。
 そして朝の一番からジリジリと焼け付くような太陽が照らす中、本日の第一試合にZ学園野球部は臨んだのだった。

 後攻めZ学園の投手P君は自分の球が今までで最高に走っている感触を得ていた。
 昨年の十月、監督が旅行から帰った時に持ってきた、あのボールで練習を始めてから、P君のボールはドンドンスピードを増していったのだった。

 その時ベンチの監督はあの野球の神様の言葉を思い出していた。

「良いか、このボールは八尺瓊曲玉の変化したもの、一つ二寸程(約六cm)もある勾玉を八尺(約二.四m)の紐でつないだ物。コレだけの重さのものをボール一個に収めたモノじゃ。投げる際にはボール一個にしか感じないが、その効能は元の八尺瓊曲玉で鍛えたのと同じになる」

 つまりこのボールで練習すれば、知らず知らずのうちに、巨岩をも投げ得る豪腕を作れるという訳なのだ。

 同じように、八岐大蛇の尻尾から出たという天叢雲剣のバットは見た目には一本の普通のバットであるが、効能としては扇状に拡げた八本のバットを振るうが如くどんな球でも打ち返す事ができると言う。
 又、直径一.五mもあろう大鏡である八咫鏡のミットは空間を歪曲し元々の直径に入るボールならどんな暴投でもことごとく吸い寄せるという不思議なチカラを持っていたのである。