小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
郷田三郎(G3)
郷田三郎(G3)
novelistID. 29622
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

神々と悪魔の宴 ④<野球の神様>

INDEX|2ページ/6ページ|

次のページ前のページ
 

 参道を帰る道すがら、K氏のそんな訴えに学園長が小言を言おうとした時、道の脇の藪の中から、二人を呼び止める声がした。

「これこれ、そこの二名。毎日の参拝まことにご苦労であった。その殊勝な心がけに免じてお前達の願いを叶えてやろうぞ」
 二人が声のする方を見ると、上等な衣をまとった老人が満面の笑みを浮かべて立っていた。

「いや何も言わずとも心得ておる。お前達は今期の野球で優勝したいのであろう? 何を隠そうワシは野球の神なのじゃ」
 そう言って持っている杖をクルリと回すと、モクモクと煙が立ち昇った後に、大きな金属の丸い板と何やら古めかしい剣、そして大きな曲玉をやけに長い紐で結んだものが現われた。

「どうじゃ、お前達にこの三種の神器を授けよう。これを使って精進すれば必ずや望みは叶えられようぞ」
 野球の神と名乗る老人が得意げに語るのとは裏腹に、学園長とK監督は困惑の表情を浮かべていた。

「あのぉ、神様?この道具はどうやって使えば良いのでしょう?」
 学園長の問いに野球の神様は少々気分を害したのだろうか。
「どこを見ておるのだ。よく見やらんか!」
 老人の叱責に改めて先ほどの三種の神器、すなわち、八咫鏡(ヤタノカガミ)・天叢雲剣(アマノムラクモノツルギ)・八尺瓊曲玉(ヤサカニノマガタマ)を見るといつの間にかそれぞれキャッチャーミット、バット、ボールに姿を変えていた。

「まあ、三種の神器といってもレプリカじゃから、そんなに長持ちはせん。大事に使ってもせいぜい一年じゃな。ふぉっふぉっふぉお」

 学園長とK監督がその野球道具を手にとって眺めているうちに、野球の神様はひと通りの説明をすると、煙のように忽然と消えてしまったのだった。