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機械廃棄人壱と半分-二十三夜-

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□ ヴィダディア □



----命の源は、悲しみを伝えるものともなる。


本日の天気は考えたくもない程の大雨だった。窓をすべる水たちが疎ましい。雨音でさえも耳障りだった。
ヘッドホンの音量を上げて、部屋に引き篭もり廃棄人は資料に目を通す。文字は頭に入ってこず、ただ目を動かし、耳元で何かの音たちが紡いでいるだけ。

(…外界がノイズだらけだ…)

紙に当たるかのように机に投げつけ、ベットに身を預け入れ天井を仰ぐ。今日は何となく、何もしたくない気分に襲われていた。眼を閉じて思う。

(…何をしなくても時間は平等に過ぎる、か…)

昨日過ぎった不安も流せると思われた雨音も、傷を只管に撫でていくだけで、癒しにもならない。過去に「水は癒し」「水は生命の源」と聴いた事がある。

(…何処がだよっ…)

悪態をついて体をごろんと横に動かす。

今日は、少女を見ていない。彼女も彼女自身の部屋に篭り切りなのだ。廃棄人は、シーツをぎゅっと握り締め、脳を胸を埋め尽くす雨を必死で振り払おうとあがいていた。