ドラえもんの机
「あら、家の中が真っ暗。伸夫はどうしたのかしら?」
「ん? どうしたんだ。伸夫は帰ってないのか?」
二人が二階の伸夫の部屋に行くと……。
妖しく明滅する機械のモニター画面。
微かに聞えるうなるような音。
そして二人は何とも言えない違和感を感じて、その機械のSWを切ったのだった。
灯りを点けると床には伸夫がうつ伏せに倒れて……いや、グーグーと寝ていた。
乱暴に開いた包みをパパが手にとって見ると……。
その顔がたちまち蒼ざめた。
「マ、ママ。これは……」
「え、何なの?」
「これは最近アメリカで発売禁止になった、向精神波発生装置。”Dream On The Desk”だ!」
元々は凶暴性のある犯罪者等をおとなしくさせる為に開発されたものだが、その麻薬にも似た使用効果の為に、闇ルートで市場に流れたらしい。
「だが、使い方を誤って脳に致命的なダメージを与えてしまうケースが続出した。そしてこの機械は正式な使い方さえ許されない違法なマシンとなったんだ」
「しかも、これはその中でももっとも危険な高出力プロトタイプモデルだよっ!」
「ええ!でも何故そんなものがウチに?!」
ママはガクガクと震え出して床にへたり込んでしまった。
「わからん。誰か伸夫に怨みのあるものの仕業か、悪質ないたずらか――。しかし余程の金持ちでも、闇ルートに顔が利かなけりゃこんなモノは買える筈は……」