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もう一人の私  (Another me.)

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「そうか二郎、絵を画いて生きていくってか、羨ましいよ。俺の果たせなかった夢を、そちらのアナザー・ワールドで果たしてくれ! 応援するぞ、頑張れ! 

だけど、たまには俺のパソコンに帰ってきてくれ。二郎好みのベッピン秘書カトリーヌが俺のパソコンに派遣されて来てるしな、モデルをお願いできるぞ。

ところで、PPKって何のことだよ?」

「高見沢一郎、PPKを知らなかったのか、やっぱり時流に乗れてないなあ。それはピンピンコロリのことだよ。一郎も自由奔放、そしてPPKで頑張れよ、じゃあね」

もう一人の私、二郎はこんな最後の言葉を残して、ネット内のアナザー・ワールド、そこへの放浪の旅へと旅立って行ってしまったのだ。

「PPKって、ピンピンコロリのことか、なるほどなあ、画家として自由奔放に生きて、そしてピンピンコロリで逝ってしまう、そりゃ最高だよ。

だけどなあ、それは・・・・・・俺が一番やりたかったことだよ!」
高見沢は天を仰ぎ、そんな深い言葉を吐いた。

そして、続けて、
「俺はもう一人の私、そう『Another me』を神に代わって創造してしまった。名前は高見沢二郎、今は家出して、ネット内社会で勝手気ままに生きようとしている。

生活は貧乏で結構大変だろうから、初めはいろんな人達のパソコン内に突然お邪魔して、一宿一飯のお世話になったり、しばらく居候したりするのだろうなあ。

人様に迷惑かけず、絵かきとして頑張れよ!」
高見沢は一心分体の二郎のことを思い、殊勝にも祈るのだった。