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もう一人の私  (Another me.)

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そして世の中は、本当に二、三年前と様変わり。
いろんな人達のもう一人の私がネット・ワールドに一杯住むようになり、活躍し出している。

そして、いろんな本格ウェブサービスも増えた。
だが高見沢は、いつも気になるのは家出して行った二郎のこと。たとえ縁切りしたとしても、二郎はやっぱり高見沢自身の分身なのだ。
心の中での離縁のしようがない。

「二郎よ、お前は一体どこで何をしているんだ? ちょっと寂しいよな、たまには便りでもよこせよ」

二郎が高見沢のパソコンから飛び出して行って、こんな思いの中で、また暫くの時が経った。

行方知れずの音信不通。二郎のことが心配だ。
いつの間にか年の瀬の十二月に入ってしまっている。
そんなある日に、新巻(あらまき)鮭一本が御歳暮で贈られてきた。

「新巻鮭丸っぽ一本か、こりゃスゴイなあ。しかし包丁は切れないし、さばくのは邪魔臭いよなあ、気のきかん御歳暮だよ。一体誰がこんなのを贈ってきたんだよ?」と、高見沢は贈り主を見てみた。

そこには、なんと高見沢二郎の名前があったのだ。
そして、受取人は・・・・・・今回は、高見沢一郎。

「おう、二郎からの御歳暮か、あいつも俺のことを気にしてるのか、アホだけど可愛いヤツだ。今、一体どこで何をしているのだろうかなあ?」

そして、高見沢がその住所を確認してみると、そこにはEメールアドレスある。それは[jiro@another_new_world.net.jp]とあった。

「へえー、二郎もちゃんとアドレス持って生きてるじゃん、新巻鮭の代金は、どちみち俺のクレジットカードからの引き落としだろうが、まっいっか。

アイツと俺は一心分体、届いたという返事でもメールしてやるか」