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もう一人の私  (Another me.)

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二郎からは時間を置かずに、すぐに返事が返ってくる。
「おっと、そうだったか、そりゃパソコン内では実物のドライバーは使えないよなあ、距離稼ぐのに欲しかったんだけど、ネットカタログを見てて思わず買うてしまったよ、スマナイ、衝動買いだよ。一郎、アンタ欲しかったら使ってくれてもいいよ。

それとお金の方は、高見沢一郎の暗証番号使って、クレジットカードで引き落としておいたからな・・・・・・ヨロチクね!」

高見沢はこれを読んで、一気に頭に血が上った。
「なんだと、俺のクレジット・ウェブサービスで買ったってか? 俺の虎の子ヘソクリ口座からってか? そんなアホな!」

もうカッカきている。
「バッキャロー!  二郎、俺の金を勝手に使うな!」
怒りが止まらず、そうメールで返した。すると二郎からまたすぐに返事が返ってくる。

「一郎、アンタの金ってか、アンタと俺は同一人格を持つ同一人物だぜ、ただ住んでる世界がちょっとチャウだけだよ、アンタ一郎はリアル・ワールドで、俺二郎はネット・ワールドで生きてる、ただそれだけの話しだよ。

いいか、アンタと俺はどこまで行っても同一人物なんだよ。だから一郎の金は俺の金、俺には一郎の金を使う権利が当然ある。

だいたいだなあ、あんなクソメールの処理ばっかりやらしやがって、お礼に、ヘソクリの金をどんどん使って頂いて結構ですという感謝の気持ちはないんか! 

えーい、今が良いチャンスだ、もう一郎のパソコンからは出て行って、俺は自立する。俺はもっと自由奔放に生きたいんだよ!」