嘆きの運命
しかし、それから1ヵ月。
少しずつ、岩沢の態度に変化が現れてきた。
家庭では、以前のように不機嫌な顔をすることが増えて行き、徐々に食事にも文句を言うようになった。
そしてまた、食事を叩きつけるように床にぶちまけることもあった。
息子の勉強を見てやっていたのも、約束してから3週間だけのことだった。
次第に息子に対しても、以前のように高飛車な物言いをするようになった。
祥子は悲しかった。
せっかく優しくなってくれたと喜んでいたのに、1ヵ月でまた元に戻ってしまった。
学も『やっぱりお父さんは冷たい人なんだ』と、子供心にも諦めの境地になっていた。
ふたりは、どうして岩沢が急に変わったのかその理由を知らないから、一時的に優しかっただけなんだと勝手に解釈した。
そして、日々ストレスが膨らんでいくのを感じていた。
岩沢は次第に、会社では部下から以前の通り疎まれるようになり、家庭でも冷たい人として見られるようになった。
「はぁ〜ダメか、1ヶ月だけじゃったか……。愚かよのぅ」
彼の様子を見ていた神様はため息をつき、そっと言った。
そして、その数日後。