リンコ
悠介は、鉢から指先を抜くと手早くパジャマに着替え、改めてベッドに横になった。もちろんりんこを自分のすぐ脇に置き、鉢の周囲に左腕を回して倒れないように抱き、右手の指先をまた土の中に埋めた。
すると、すぐにまたあの温かい波動が身体中に広がって、まるで雲にでも乗って空を浮遊しているように、身体が軽くなっていく感覚を愉しみながら、すうーっと夢の世界へと入っていったようだった。
それから間もなく、悠介がふと気付くと、ベッドに横たわる自分の左腕を腕枕にして、あの紫の少女が優しい笑みを浮かべ自分をじっと見つめている。
「君は……」
悠介が驚いて呟くように言うと、それを遮って、その少女が初めて口を開いた。
「悠介、私のこと分かる?」
「えっ! 分かる? って……」
悠介は驚いて、目の中の黒目の部分が左右にゆらゆら揺れた。だが次第にそこには喜びの光りが溢れていき、大きく見開かれた。
そして遂には、言葉が口を突いて飛び出した。
「りんこ! りんこなのか?」
考えてみれば、紫の服を着ている時点でなぜ気付かなかったんだろう。悠介はそう思った。
「悠介、私を抱いて!」
りんこは今まで我慢していた気持ちをぶつけるように、悠介に抱きついてきてそう言った。よく見るとりんこは、一子纏わぬ姿だった。その肌は白く、どこまでも透明感に輝いている。普通なら、それだけ白い肌だと血管が青く透けて見えるものだが、りんこの肌にはどこにも血管の一筋も見えない。ただ白く、清らかな輝きに満ちて美しいのだ。
まるでこの世の者ではないかのように……。
りんこは悠介の唇に自分の唇をそっと重ねると、深く溜息をついた。
「あぁー悠介。ずっと前からこうなりたかったわ。たぶん初めて出会った時から……」
りんこの口づけを受け、心が満たされるのを感じた悠介もりんこに言った。
「僕もだよ、りんこ。君は誰よりも素敵だ!」
そしてまた二人は貪るように互いの唇を吸い、りんこに求められるままに悠介は、りんこの滑らかな肌を隅から隅までその唇で丁寧に愛撫した。
こんな所で由紀子に教えられたセックスの手ほどきが役に立つとは……そう思いながらも悠介は、由紀子に教えられた通りに、優しくそっと触れるようにりんこを愛した。
りんこは切ない吐息を漏らし、悠介はりんこの名を幾度も呼んだ。
りんこと悠介は何度も高みを極め、その都度りんこは狂おしいほどの甘い声を上げ、それは同時に悠介の満足へと繋がっていった。
二時間近くの愛の交歓の後、くたびれ果てた二人はそのまま眠りに落ちていった。