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夢の旅路

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次の瞬間、スクリーンがゆらりと揺れた。
すると、狭い路地を肩を寄せ合って歩く二人連れが見えた。
女性は間違いなく彩乃だ。相手の男性は誰だろう。
彼女に楽しそうに語りかける横顔には、見覚えがあるような気がする。
わたしは急ぎ足で二人に近付き、その男の肩に手を掛けた。
その瞬間振り向いたその顔は……わたしだった。

「わたしの彩乃を返せ!」
そう言うつもりだったのに、なんとその相手はわたしなのか……。

振り向いたわたしは、そこに何もないことを不思議に感じたのか、首を傾げた。
「今誰かが肩を……おかしいなあ」
そう呟きながら……。

いつの間にか二人を追っていたわたしは、追われていたわたしに取って代わり、彩乃の肩を抱きながら歩いていた。何事もなかったかのように――。

そしてまたスクリーンが揺れた時、わたしは布団の中にいた。
もちろん横には彩乃が――いない。
横たわるわたしの目に映るのは、真っ白な天井、真っ白な壁、そして真っ白なカーテン。
ここはどこだろう。

突然、腕に鋭い痛みを感じた。
視線を動かすと、そこには真っ白な服をまとった男性がすっくと立ち、そのそばで、やはり真っ白な衣服の女性が、わたしの腕に注射針を立てていた。
医者と看護士? ということは、ここは病院なのか?
なぜわたしは病院に……?
この状況も夢なのだろうか。
わたしには病院に入院するような理由も何も思い浮かばない。


「これでしばらくは大人しくしているだろう」
「そうですね」
二人の会話が耳に入ってきた。
「何のために…?」
そう問いたかったのに、意識が沈んでいく。
注射器の中の薬のせいだと確信している自分がいた。

「なぜ、わたしはこんな目に……」
わたしの思考はまた輪郭を失っていく。

作品名:夢の旅路 作家名:ゆうか♪