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Lv1  (仮)

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(こんなことになるなら、あの時にすぐ助けておくべきだったか……)
 そんなことを思いながら、せめて土のなかに埋めてやろうと辺りを見回して、
「……」
とっさに顔をしかめた。
 その先には、たった今ぶっ飛ばした奴がいて、ピクリとも動かない。
(死んでないよな…? ……どうすんだよ、あいつ)
 とりあえず近寄って、動かないのを確認すると、
「…ラッキー」
思わず呟いて金品をチェックし始める。
 なんとなく悪い気もするが、まあ向こうが最初にやってきたんだし慰謝料ってことにしておこう、ということにしておいた。
 しばらくして(手には金貨袋とかナイフとか銃とか持って)、真面目な考えが過ぎる。
(…こいつがこの国を滅ぼした一人だっつーなら、何か聞き出せねえかな)
 とりあえず、赤髪を放ったままなのでその辺をやらなければいけないのだが、そうしている間に逃げられては困る。
 なにかないかとたった今没収した(盗んだとも言う)道具袋をあさってみると、ちょうどいい縄が見つかったので、それで縛ることにした(…断じてそんな趣味はない)。
 その後、赤髪の埋葬をし、戻ってくると、起きて暴れているところだった。
「お、おい! 早くこの縄を解け! 早くしろ!」
 俺を見つけると、いきなりギャーギャー喚きはじめた。
「急げ! さもなくば殺す! 殺すぞ! わかったらさっさと縄を解け!」
「あのなぁ、お前、自分の立場を理解してるわけ? うるせぇって」
 あまりにうるさいので、近づいてナイフ(盗品)を首筋に近づけてやると、
「はいすみませんでした静かにしますもう二度と騒ぎませんだから殺さないでください」
早口で一通り言った後、おもしろいくらい静かになって冷や汗をダラダラと流す。
(…なんか、俺が一方的に悪いように見える気がするのは……気のせいだろうか)
 多少、罪悪感にとらわれつつ、必要な情報を尋ねた。ちなみに、拷問するまでもなくペラペラとしゃべってくれたので、とても楽に聞き出すことができた。
 聞いたことは一つ、ここで何があったかだ。
「俺はあまり知らないんですけど…」
「知っていることだけでいいから、話してくれ。あと、敬語はやめろ」
「わかりまし――じゃなくて、わかった」
 話してくれたことによると、ここにあったのは〔ブルーラヴァ(通称:ルヴァ)〕という国だったらしい。
この国に住む者の三分の一が人間であり、残りの二割は人型の異種族だったらしい。
さらにその二割を分けると、獣人族(獣の耳と尾を有す種族)は六分の二、魔族(悪魔のようであり、年老いても異常に整った容姿の種族)も同じく六分の二、そして妖精族(エルフや精霊なども含む。風や炎などといった属性の力をつかさどり、見た目は羽が生えていたり、半透明、または実体がなかったりなどするが、主に有名なのが耳が長く尖っているなど。エルフは少し違い、耳が長いだけで、あとは人とほぼ同じ容姿が多い)や天族(魔族とは反対に、天使ような容姿。他の種族とは違い、純白の翼と頭の光の輪というまったく同じものを皆、有している)といった種族が残りの二割を占める。
ラヴァの国土は豊かであり、さらに広い。そのため、人間以外の種族も住めるような場所が豊富にあったという。
だが、ここ数日は内乱がよく起こっていたらしい。
小さなものが一つ一つ起こるぶんには何とか持ち堪えたが、やがて数が増すと、一つの内乱がもう一つの内乱とぶつかることが多くなる。
やがて、徐々に治安が乱れていくところを、他の国が攻め落としたらしい。
 その国の名は〔グリーンフワォラ(通称:グリーラ)〕。
そこはルヴァとは反対に、豊かとは言えない狭い国だったらしい。
民は人間と妖精族が半々という、変わった国だった。
その国で人と妖精族は一体となり、最近では人の前には滅多に姿を現さない妖精族が人間と交わることもしょっちゅうで、混血児は珍しくなかったそうだ。
では、なぜルヴァを攻めたのか。
過去はどれだけ親しくなろうと、妖精族は妖精族と、人間は人間と、という常識で子孫を残していたため、男女比がばらばらだったこの国ではそこまで民が増えることもなく、平行を保っていた。だが、ある者が混血児を産んだ際に、これで男女比が公平になると考える者があらわれ、それが今に至る。
問題はそこからである。増える一方となった民はこの狭い国のどこに住めばいいのか?
すぐこの問題にぶつかった。そして、その後は単純。
国を攻めて、土地を奪い取ろう、ということであった。
「ありがちだな」
「そう、ありがち。この国を落とすことには無事、成功したが、やはり、いろいろな種族が住み、土地が広い国を落とすのにはだいぶ疲れたのだろう。一度、引き上げたようだ」
「で、お前は何をしにここへ来たんだ?」
「そ、それは……、生活が、苦しくて、金がたりなくてよ、だから…少しだけ…」
「つまり、ハイエナってことだな」
 おずおずとした答えを容赦なくバッサリ切り捨てると、グッと歯を食いしばって睨んできたが、何も言わなかった。
「あ? 何が違うってんだ。家族のためだからって、かわいそうになぁ、とか同情してやるほど、俺は甘くねぇからな。たるんでるんだよ。親の顔が見てみたいぜ」
「だまれ! 俺が何をしようと、あんたには関係ないだろ!」
 調子に乗って続けると、親のことを言われて腹が立ったのか、急にキレて怒鳴った。
「それと、あんたも何か話したらどうだ。どうしてここにいるかとか」
「どうして、か……」
 何と言おうか迷った。
 記憶がないから聞いていたのだが、逆に尋ねられては困る。
 ここは本当のことを言うか、ごまかすか、それとも無視するか。
 大体、さっきも言ったが、こいつは自分の立場を理解しているのだろうか。
 答える必要はない。ないのだが、
「俺が聞きてぇよ。残念ながら、記憶がないんで何も答えらんねぇぞ」
無視をしても、それといったメリットはないし、むしろ、何も聞かせてもらえなくなるかもしれないというデメリットがあるため、一応答えた。とは言っても、記憶がない、ということだけなのだが。
「記憶がない…? じゃあ――」
「あー、そんなことより、まだ、聞き忘れていたことがあった」
「聞き忘れていたこと?」
「そ。何で俺を撃とうとしたんだよ」
「そんなの単純だ。盗人だぞ。聖大賢者協会につきだされちゃあたまらない」
「その、なんちゃら賢者協会ってのは?」
「聖大賢者協会。本当に何も知らないんだな。警備機関(警察)より位が上の組織だ。主に賢者(神に祈りをささげ、その力を治癒や蘇生、稀に攻撃に使うことができる職業。勿論、過酷な試練を越えなければならない)の中でも優れた大賢者達が取り仕切り、警備機関では対処に困った大事を片付けている。そこで間違った判決が出ることは決してなく、だが、大事だけあって、無罪でなければ死刑、または終身刑のどちらかだそうだ。弁護士をつけることは許されず、大賢者達が言うには“神のご決断で刑が決まる”だそうで、だから神の審判を否定するようなことを言う弁護士は許されないんだと。まったく、あきれるな」
 長々とした説明の中、一つ、気になる点を見つけた。
作品名:Lv1  (仮) 作家名:アミty