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神社寄譚 1-1 藁人形

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終わると私は撤収の準備を進めた。
その間に宮司は施主たちと話をしていた。
宮司が見てはならないと私にいうので白いダンボール箱を・・。
中身をチラッとみたが・・炎天下のもとでも
背筋に冷や汗が流れるのを感じた。

私が一応の撤収を終えると、宮司が私に「神社に帰ろう」といい
その地を後にした。
車が走り出すと、クーラーを全開にし汗が飛び散っていった。
「なぁ、箱の中ぁ見ただろ?」
えぇ。
「あぁいうことがあるんだよなぁ。
ホラ、お稲荷さんってさ、さびしんぼうだって云うだろ?
いつもいつも毎日毎日決まって御祭りしていないと
寂しがって家に憑く・・って」
そうですねぇ、聴いた事ありますねぇ。

「狐憑きってのは別なんだけどね・・。
だが、狐様に祟られる・・って話はさ。
その辺から出た話みたいなんだよね」
はぁ・・。
「さっき話を聞いてきたんだけどさ。
いろいろ大変だったらしいよ。
先代の方が病気で亡くなられたり
息子さんが事故で亡くなられたり
ご自身も奥さんと離婚されたりしたらしい。」
はぁ・・。
「今度、改めて地鎮祭に行くよ。
それから集合住宅が建ったら、あの社にまたお戻りいただく。
それまでの間、このお稲荷様には神社にお越し願う。」

「しかし、どうしたものか_。」
宮司がクーラーから出る冷風の出口に額を近づけた。
私は、完全に冷え切っていた。
いや身体は体温が、むしろ上がっていたのだ、と思う。
だが、箱の中身を見た衝撃が、まだ残っていた。
作品名:神社寄譚 1-1 藁人形 作家名:平岩隆