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神社寄譚 1-1 藁人形

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宮司は昭和ひとけた世代で後期高齢者の域に達していた。
どうもこの手伝いを始めてから改めて解った事だが
神職の仕事というのは知ってのとおり神社の中に留まらない。
外祭と云われる地鎮祭とか、いろいろとあるわけだ。

寺の住職と違って神社の神職というのは
三段の祭壇を持って移動せねばならない。
三方と云われる品台五個分に
米、酒、海の幸、山の幸など
新鮮な供え物を準備せねばならない。
などと、かなりな荷物量であって、高齢な宮司には
なかなかに重労働となってきた。
だから・・エラそうなことを云っても
単に“荷物運び”には違いなかった。

まぁ普段から宮司ひとりで切り盛りしてきた
ちいさな神社ではあるのでそれほどの仕事量ではないのであるけれど
仏滅は仕事など無く、大安は仕事が重なり合って手が廻らない。
そんな状態で。
私の神職の手伝いは役に立っているのか、どうかはともかくはじまった。
作品名:神社寄譚 1-1 藁人形 作家名:平岩隆