神社寄譚 1-1 藁人形
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私はひょんなことから近くの神社の役員となった。
町内で持ち回りの役員なのだが、
長引く不況のおかげで残業がなくなり、
多少時間が出来たこともあって
休みの日に限って、高齢となった宮司の手伝いを
買って出るようになった。
まぁボランティアの域は出ないのではあるが
御恥ずかしながら、いい歳してようやく信仰心が芽生えたというか。
いや、海外勤務が長かったからその反動というか。
この際私の人生で今迄あまり触れてこなかった
この世界について垣間見てみよう、と思った・・のかもしれない。
まぁ小遣いも減ってゴルフも出来なくなったし
あれは意外に環境に悪いんだよね、とか屁理屈いいながらも
家でゴロゴロしているよりは、多少でも健康的なのかもな
と思いながら、やり手の少ない仕事に手を挙げてた。
作品名:神社寄譚 1-1 藁人形 作家名:平岩隆