ダヴィンチコード イン ジャパン
佐山が、「そうです。ここではたくさんのお米が作られています」と答えた。
車は“木造”のあたりで右折して亀ヶ岡遺跡に向かう。
佐山が、「まだ昼には早いが、昼食を取る時間がないかもしれないので、」と言って、持って
きたサンドイッチを二人に渡した。
二人は受け取ったサンドイッチを一つずつ食べた。
遺跡の近くに来ると、宇宙人みたいなモニュメントが見えてくる。
木村は、「おお凄いな、やはりキリストのイメージがある。」と独り言を言った。
ナターシャが木村に、「あのモニュメントは何ですか。」と聞いた。
木村は、「ここで発見された“はにわ”という人間を象った土器
です。」と答えた。
さらに進むと資料館があった。
木村は佐山に、「あの資料館に行きたい。」と言った。
佐山は、「分かりました。」と言って、
窓を開け合図して、前のパトカーを止めた。
前後のパトカーから、6人の制服の警察官が降りて
資料館に向かう。
何が起きたのかと人々が集まって来た。
警察官が木村たちの乗った車を取り巻きガードする。
木村たちは車を入口の脇に横付けして、
一気に資料館の中に入った。
中に入ると、ここで出土した土器が数多く並べてあった。 亀ヶ岡のモニュメント
木村は一つ一つ時間をかけて見て廻る、
制服の警察官が3人、木村にぴったりと寄り添う。
ナターシャは佐山とともに、木村と少し離れて出土品を見て廻った。
木村が念入りに見ているため、なかなか進まない。
ナターシャは宇宙人型の出土品に興味を持ったらしく、じっと眺めていた。
木村は器についている模様に興味があるようで、念入りに見ていた。
木村は佐山に、「土器の模様の写真を撮りたいのですが、いいですか。」と聞いた。
佐山が館長に尋ねると、「館長は特別に許可しましょう。」と言う。
佐山は木村に、「OKです。」と答えた。
木村は持ってきたカメラで念入りに写真を撮った。
木村はナターシャに、「ほとんどすべてがラーメンマークだ。
ここにキリストが来たことは間違えない。」と小声で言った。
夕方近くになって、
木村が佐山に、「本日の調査は終了です。
ありがとうございました。」と言った。
佐山は警察官にその旨を伝え、急いで帰る準備を始めた。
それから全員車に乗り込み、その場を離れる。
その様子を双眼鏡で監視している男が二人いた。
一人は橋詰刑事、もう一人は暁ジョーであった。 亀ヶ岡のラーメンマーク
車は2時間ほどで青森警察本部に戻った。
警察本部に戻ると戸来が入口で待っている。
木村は戸来に促され急いで警察本部の中に入る。
ナターシャと佐山もそれに続いて警察本部に入った。
警察本部に入ると、戸来が木村に、「お疲れさま、今日の調査はどうでしたか。」と聞いた。
木村は戸来に、「今日の調査は大変な成果がありました。」と言った。
戸来も、「うん。」とうなずいたが、調査の内容は聞こうとしなかった。
戸来は、「食事が用意してある。」と言って、みんなを5階に案内する。
そこに橋詰と鳥栖が戻って来た。
橋詰は小声で戸来に、「警部補、“暁”らしい人影を見かけた。木村さんの行動を監視し
ている様子だった。」と言った。
戸来は、「うん。」とうなずき、「明日は危ないな。」ともらした。
みんなが5階に着くと、魚を中心とした食事が用意してあった。
全員ビールで乾杯した後食事を済ませ、明日のキリストの墓訪問に備え、早めに休んだ。
キリストの墓への再訪問
9月
25
日 朝7時
木村はこの日もノックの音で目を覚ました。
ドアを開けると昨日と同じ婦人警官が入って来て、「朝食の用意が出来ました。」と言った。
木村は、「はい。」と答え、急いで防弾チョッキを付けて5階へ行く。階段でナターシャと佐
山に会った。
簡単な挨拶の後、3人で5階の部屋に行くと、部屋では戸来が待っていた。
戸来は、「おはようございます。」と挨拶した後、「橋詰くんと鳥栖くんは先に出かけた。キ
リストの墓までは時間がかかるので早く出かけることにする。食事を済ませたら出発する。」
と言った。
三人は、「はい、分かりました。」と返事をして席に着く。
テーブルにはサンドイッチとおにぎり、缶コーヒーとペットボトルのお茶が用意してあった。
木村が、「今日はいよいよキリストの墓だ。またキリストに会えるような気がする。」と言った。
ナターシャは、「私はキリスト様の墓を訪問することがとても楽しみです。」と言い、
「木村さん、そこはどのようなところですか。」と聞いた。
木村はサンドイッチを手に取り、缶コーヒーを開けながら、「山の上にあり、2本の木の十
字架が立っている。その奥に伝承館という教会がある。」と答えた。
ナターシャが、「その山は高いのですか。」と聞くと、木村は、「100mか200mぐらい
の低い山です。」と答えた。
佐山はおにぎりを食べながら、その話を興味深げに聞いていた。
戸来が、「キリストの墓は山の中にある。危険だから帽子を取らないようにしてください。」
と言った。
三人は戸来を見て、「はい。」と返事をした。
30
分ほどで食事を済ますと、戸来が、「出発しましょう。」と言った。
三人は、「はい。」と返事をして部屋を出る。
一階に降りて裏口から目隠しをしたワゴンに乗り込む。
前後にパトカーが付き、更にその前には白バイがいた。
戸来が裏口で、「気を付けて行ってください。」と言った。
三人は、「はい。」と返事をして出発する。
車列は白バイの先導で県庁の前を通り、国道4号線に出た。4号線に出ると、スピードを上
げて八戸方面に向かう、 しばらく走ると左側に海が見えてきた。
ナターシャが木村に、「この海は太平洋ですか。」と聞いた。
木村は、「ここは青森湾の中で太平洋ではありませんが、太平洋につながっています。」と説明
した。
ナターシャは、「私は太平洋を見たことがありません。」と答えた。
更に進むと浅虫温泉という標識が出できた。
佐山がナターシャに、「ここは、有名な温泉地でホタテ貝が名物です。」と言った。
ナターシャは、「日本には温泉がいっぱいありますね。ロシアにはほとんどありません。」と
言った。
車は更に進み野辺地から内陸に入っていく。
左側に三沢20kmという標識が出てきた。
木村が、「三沢には米軍基地がある。そこには象のオリという大きなアンテナがあり、この
地域の情報収集をしている。」と言った。
ナターシャが、「そのアンテナの話はユーリーから聞いたことがある。主にロシアの情報収
集をしていると言っていた。」と口を挟んだ。
木村は、「それは正しい、そのアンテナが作られたのは冷戦時代だ。今は主に中国の情報を取っ
作品名:ダヴィンチコード イン ジャパン 作家名:HIRO サイトー