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ダヴィンチコード イン ジャパン

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 パトカーはサイレンを鳴らし、スピードを上げ常磐道に向かう。常磐道に入ると更にスピー
ドを上げ、1時間ほどで警視庁に戻った。

 警視庁に着くと6時近くになっていた。地下の駐車場に入り、エレベーターで
10
階の部屋に
昇る。またこの様子をサラリーマン風の男が、お堀の前からうかがっていた。
10
階に上がると、
宮川が食事を用意して待っていた。

 今日は出前の寿司であった。一人に一本の缶ビールが付いている。

 4人が部屋に入ると、宮川は、「お疲れさま、食事を用意した。テーブルに付いてくれ。」と



言った。

 みんながテーブルに着くと、宮川は、「ビールを用意した、乾杯をしましょう。」と言って、
自分の缶ビールのキャップを抜いた。

 みんなもそれに従い、缶ビールのキャップを抜く。そしておのおの前に置いてあるコップに
ビールを注いで、乾杯を始めた。

 「乾杯、ザナス、トースト。」と言う声が同時に響く。

 乾杯が終わると、

 宮川が木村に、「木村さん、今日の調査はどうでしたか、もう発表することができますか。」
と聞いた。

 木村はちょっと申し訳なさそうな顔をして、「青森の三内丸山に行って、最後の調査をして
から発表したいのですが。」と答えると、

 宮川は困ったような顔をして、「青森まで行くとなると大変だな。」ともらした。

 木村は、「あと三内・丸山の近くにある亀ヶ岡遺跡とキリストの墓で、最後の調査をして発
表したい。」と言った。

 佐山が小皿に醤油を入れてみんなに配る。

 宮川は赤貝のにぎりに醤油を付けながら、「橋詰くん、亀ヶ岡遺跡とキリストの墓に行く警
備計画を作ってくれ。」と言った。

 橋詰が、「警部、地元警察の応援はどれくらい得られるのですか。」と聞くと、



 宮川はさっきの赤貝を食べながら、「そんなことは君次第だ、地元の応援なしにガードでき
る筈がない。」と答えた。そして、「俺も青森の本部長によく言っておくから、君からも頼んで
くれ。」と続けた。

 宮川はナターシャに、「あなたも青森に行きますか。」と聞いた。

 ナターシャは、「ダー(はい)。」と答えた。

 木村は穴子のにぎりを食べながら、「宮川警部、竹内古文書はモスクワにあるものとまった
く同じでした。」、「館長によると竹内古文書にはかなりの写本があり、そのうちの関東軍が持っ
ていたものが今モスクワにあるようです。」と言った。

 宮川はこれからの警備計画のことで頭がいっぱいのようで、木村の話を淡々と聞いていた。

 佐山が、「私は竹内古文書のことは良く知らないが、国立公文書館にあるものとモスクワに
あるものが同じとは驚きです。」と言った。

 木村は佐山の話を聞き、「うん、うん。」とうなずいていた。

 ナターシャはマグロのにぎりを食べながら、「私も沖縄に関する資料や北の島の資料を見付
けました。あのようなところに誰でも入れるということは、ロシアでは考えられない。」と言っ
た。その話を聞いた後、宮川が思い出したように、「ナターシャさん、ユーリー・リガチョフ
さんとはどんな人ですか。」と聞いた。

 ナターシャは、「ユーリーはとても優秀で、大学を主席で卒業した。情に深く友人を大切に
する人です。」と言った。



 宮川は佐山に、「みんなにお茶を出してくれ。」と言った後で、「僕はリガチョフさんが日本
に来たとき、一度だけ会ったことがある。」、「そのときの印象は、頭が良くなんでもすぐに理
解する人だなと思った。」と言った。

 ナターシャは佐山が持ってきたお茶を飲みながら、「先日ユーリーが日本には、宮川という
優秀な警部がいると言っていました。」と言うと、宮川は頭を掻いて照れていた。そして、「リ
ガチョフさんがせっかく貴重な情報をくれていたのに、成田に行けなくて大変申し訳ない。早
く対応していれば、この事件は防げた筈だ。」と悔いるように言った。

 ナターシャはその話を、「うん。」とうなずき聞いていた。

 橋詰が、「警部、私はこれから青森での警備計画を作ります。」と言って部屋を出て行った。

 宮川が、「木村さん、一杯飲みますか。」と言って、戸棚の中からウイスキーを出す。

 ナターシャに、「あなたも飲みますか。」と聞くと、ナターシャは、「私はグリーンティーをもっ
と飲みたいです。」と答えた。

 宮川は佐山に、「僕と木村さんには、氷とグラス、それから何かつまみを用意してくれ。ナター
シャさんにはお茶と甘いものを用意してくれ。君はどちらでも好きな方にしてくれ。」と言った。

 佐山は、「はい、警部。」と答えそれらの用意を始めた。

 宮川が、「確か下にはテレビはなかったな。」と言って、テレビをつける。

 アメリカのケーブルテレビが放送されていた。

 そのテレビは、「日本で起きた事件について、フリーメイソンという団体に注目しなくては



ならない。」と言っていた。

 それを見て宮川は、「テレビもアメリカの方が一枚上だな。」と言った。

 そこに佐山がさっき頼んだものを持ってくる。

 宮川が木村のグラスに氷を入れウイスキーを注ぎながら、「これは山崎の
12
年だ、僕はこれ
が大好きなのだ。」と言った。

 木村も、「山崎の
12
年はスコッチに負けていない。」と同意した。

 佐山がナターシャに最中をライスケーキだと言って出すと、

 ナターシャは、「私はライスケーキを食べたことがありますが、これは初めてです。」と言って、

興味深そうに口に運んだ。

 そして、「このケーキはあまり甘くないですね。」と言うと、佐山がびっくりした顔をして、「私
には随分甘いです。」と言った。それにナターシャは笑顔で答えた。

 木村がウイスキーを飲みながら、「いつから青森に行くことが出来ますか。」と宮川に聞くと、

宮川は、「警備計画を立てるのに一日二日はかかるな。早く済ませたいのだが。」と答えた。宮
川はつまみのピーナッツを口に入れウイスキーを飲みながら、

「安東組のヒットマンが気になる。」、「この辺を変な奴がうろついているようだ。」、「二人とも
気を付けてくれ」と言った。

 木村とナターシャは、「うん。」とうなずいた。

 佐山が、「警部、もう
10
時です。そろそろお開きにしたほうが、」と聞くと、



 宮川も、「そうだな、そろそろお開きにしよう。明日青森行きのスケジュールを伝える。」と
言った。

 木村とナターシャは宮川に礼を言い、佐山と共にとなりのビルの地下にある部屋に戻った。

 翌朝宮川から連絡があり、青森行きは9月
22
日に決定した。

 その頃世界ではこの成田事件が大きな話題となっていた。

 キリストの生涯に関する問題はほとんど無視され、フリーメイソンのテロ集団としての危険
性が論議されていた。

 先日のサミットでも、ロシア大統領がフリーメイソンに関する情報を示し、

 主にその組織が存在するイギリスとアメリカに対して、摘発を迫った。

 日本も成田事件の大きな被害の経験から、ロシアに同調した。