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ダヴィンチコード イン ジャパン

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山が、「ナターシャさん、この道は別の道です。」と答えた。

 ナターシャは、「よかったです。空港へ行く道はもう通ることができますか。」と聞いた。

 佐山は、「空港へ行くことはできますが、帰り道は修繕中で今週いっぱい使えません。」と答
えた。

 そんな話をしている間に車は常磐道に入る。更にスピードを上げてつくばに向かった。

30
分ほどすると桜・土浦インターチェンジに到着した。

 インターチェンジを出て筑波大学の前を通り進むと、真新しいガラス張の国立公文書館つく
ば分館が現れた。

 橋詰が車を入口に横付けして、ナターシャ・木村・佐山が中に入る。パトカーの警察官も降
りて、二人をガードした。



 橋詰は車を駐車場に入れた後、3人と合流した。

 中に入ると早足でゲートを通過する。ゲートの中で、館長が待っていた。

 橋詰が警察手帳と書類を見せると、館長は、「こちらです。」と小さな部屋に4人を案内した。

 そこにパトカーの警察官が来て、「戻る時間は何時頃になりますか。」と聞いた。

 橋詰は、「調査にどれくらいの時間がかかるか分かりません。前で待っていてくれませんか。」
と言った。

 警察官は敬礼して、「了解致しました。」と言った。

 館長が橋詰に、「これが竹内古文書です。」と言って古びた本を一冊渡した。

 橋詰は木村に、「これです。」と言って手渡す。

 木村はその本を受け取り、「これが竹内古文書か。もっと大掛かりのものだと思っていた。」
と言って、その本を開き始める。本はモスクワで見たものと同じく、毛筆で書かれていた。始
めに神武天皇から始まる現在の皇朝を、「神倭朝」と呼び、これ以前に、「上古25代」とそれ
に続く、「不合朝
73
代」、それ以前に、「天神7代」があった。と記されていた。

 木村は竹内古文書を見ながら、「モスクワで見たものと全く同じだ。」、と言い、

 館長に、「竹内古文書には写本があるのですか。」と聞いた。

 館長は、「あります、私の知るだけでも
10
冊はあります。」と答えた。

 木村が、「その一冊がロシアにあるという話を聞いたことがありますか。」と聞くと、

 館長は、「旧満州で関東軍が保管していたものを、ロシアに摂取されたという話を聞いてお



ります。」と言った。

 木村は、「それだ、僕が見たのは間違えなくそれだ。」と言った。

 館長は、「お茶でもお持ちいたしましょう。」と言って部屋を出て行った。

 橋詰が佐山に、「そろそろ昼だから何か買っていて欲しい。」と言った。

 佐山は、「分かりました。」と言って部屋を出て行く。

 館長がペットボトルのお茶を持って来て、「どうぞお飲みください。私は館長室にいますの
で用があったら呼んでください。」と言って部屋を出て行った。

 佐山がサンドイッチ・おにぎり・缶コーヒーを持って戻ってくる。

 佐山がテーブルの上にそれらを山積みすると、橋詰が、「どうそ、お食べください。」と言って、

自分はサンドイッチを一つ取り、前に置いた。そして、佐山には同じサンドイッチを渡した。

 木村はおにぎりを一個取り、ナターシャはサンドイッチを一個取った。

 そして全員お茶と缶コーヒーを飲みながら食べ始めた。

 木村は竹内古文書を汚さないよう気を付けて、おにぎりを食べながら、先のページを見始め
た。

 世界には五色人がいる。

 赤人・青人・黄人・白人・黒人とある。

 木村は、「ここも全く同じだ。」と言った。

 ナターシャが佐山に、「ここにある、他の資料を見ることができますか。」と聞いた。



 佐山は、「分かりました、ちょっと待ってください。」と言って館長に電話をかける。

 しばらくすると館長がやってきて、佐山とナターシャを資料室に案内した。そして、「ここ
にある資料はどれでもご覧になって結構です。」と言った。大量の本やダンボールが棚に並ん
でいる。

 ナターシャは日本語が分からないので英文の資料を見始めた。沖縄返還に関する米議会の議
事録などを興味深げに見ていた。ナターシャは佐山を呼ぶ。北方領土に関する資料を見付けた
らしい。

 ナターシャは、「佐山さん、この4つの島はロシアのものですか、日本のものですか。」と聞
いた。

 佐山は返事に困り少し考えた後、「日本では歴史的に日本のものであると言われています。」
と答えた。

 部屋では木村が竹内古文書を見続けていた。

 木村はいよいよキリストに関するページを見始める。

 「イスキリス・クリスマス」という名前、

 墓のある場所、

 遺言を十里塚で発見した話、

 など全く同じである。

 このとき木村はキリスト来日が真実であることを確信した。



 木村は橋詰に、「僕の今日の調査は終わりました。」、「ナターシャさんはどこに行きましたか。」
と聞いた。

 橋詰は、「ナターシャさんは、資料室で佐山と一緒に別の資料を見ています。」と言った。

 木村は、「分かりました、館長室に竹内古文書を返し、資料室へ行きましょう。」と言うと、

 橋詰は、「待ってください。」、「木村さんはこの部屋を出ないで下さい。」、「資料室は他の人
もいますから、大変危険です。」、「帽子をかぶり、部屋に鍵をかけて待っていてください。」、

「私が二人を連れて来ます。」と言った。そして、「ノックは1回した後、3回続けます。それ
以外の場合は絶対にドアを開けないで下さい。」と続けた。

 木村は、「分かりました。」と言って帽子をかぶった。橋詰が部屋を出て行くと、言われた通
り部屋に鍵をかけ待った。

 しばらくするとドアをノックする音が聴こえる。1回ノックした後、少しおいて3回ノック
があった。

 木村は、「橋詰さんだ。」と囁き、ドアを開けた。3人が戻って来た。

 ナターシャが、「資料室には大変興味深い資料がたくさんあります。」、「また来て見たいです
ね。」と言い、佐山に、「ここはだれでも入ることが出来ますか。」と聞いた。

 佐山は、「はいそうです、ここはだれでも入ることができます。」と答えた。

 ナターシャは、「ロシアにはないことです。」と言った。

 橋詰が佐山に、「今日の調査は終わった。」、「これから帰るから館長と外の警察官を呼んでく



れ。」と言った。

 佐山は、「分かりました。」と言って部屋を出て行った。しばらくすると、館長と警察官を連
れて戻って来る。

 木村は館長に、「大変貴重な資料を見せていただきましてありがとうございました。」と礼を
言い、竹内古文書を返した。それから全員帽子をかぶり部屋を出て行く。館長は全員が同じ帽
子をかぶっていることを、不思議そうな顔で見ていた。

 橋詰の合図でゲートを出る。橋詰が急いで車を出口まで持ってくる。制服の警察官二人があ
たりを見張っていた。

 木村・ナターシャ・佐山の3人は急いで車に乗り込んだ。パトカー2台が前後を固め出発する。

 橋詰が携帯電話で宮川に連絡を取り、「警部、今日の調査は終了しました。これから戻ります。」
と言った。