ダヴィンチコード イン ジャパン
大川が、「各国の情報機関と連絡を取り合うことが重要です。しかし、こちらから出す情報
がないとなかなか相手にしてもらえないのも事実です。公安庁も少しはやっているのだが、な
かなか予算がなくて難しい。」と言った。
鹿島が、「やはりこの情報部分に予算を付ける必要がありそうですね。過去の戦争でも情報戦
で敗北したことが問題でしたね。」とNHKらしくないコメントを付け足した。
延々と議論は進むが、いつも法律と予算の問題にぶつかりなかなかその先に進まない。
そうこうしているうちに、時間がなくなり実際には何の進展もしなかった。
一方民放は、実況中継をしたフリーアナウンサー前島浩二を大スター扱いして、バラエティー
番組などでは引っ張りだこだった。民放でも問題を提起する番組はいくつかあったが、具体的
方策まで踏み込めるものはなかった。
またこのニュースは各国にも配信され、イギリスやアメリカでも大きく報じられた。
各国のメディアは、世界でもっとも安全だと考えられていた日本で、このような事件がおきた
ことに衝撃を受けた。そして結果的には、日本の信用が落ちる結果となってしまった。
また安東緑は西村が失敗したことを知り、大きな不安を持ってこれらのテレビ中継を見ていた。
フリーメイソンは今回の事件がイギリスやアメリカも含め、あまりに大きく報じられたため、
木村の抹殺に直接手を染めない決定をした。そして、もしキリストの真実が発表されたときの
マスコミ対策にその主眼を移した。木村の抹殺に関しては、安東組に再度働きかけることとし
た。
安東組の再チャレンジ
9月
19
日 午前8時
フリーメイソン日本支部代表安東緑のもとに本部から電話が入る。
電話は、「名前も告げず、あなたは木村孝の抹殺に失敗しました。」、
「今、木村は公安調査庁の宮川という警部のもとにいます。」、
「とても困難な状況になりました。」、
「木村を抹殺できないと私たちは大変困ります。」、
「直ちに実行してください。」、
「抹殺ができないと、私たちはあなたを抹殺しらければなりません。」と言って、緑の返事も
聞かず、電話を切った。
緑は、「これはえらいことになってしまった。」と思った。
そして西村に電話をかけて、
「おじき、えらいことになりました。」、
「木村は公安の宮川という警部のもとにいます。」、
「それでもヒットしなければなりません。」、
「私の命もかかっています。」と言うと、
西村は、「ミドリちゃん悪い、」と言った後、
「あの豪田がこんなミスをするとは考えてもいなかった。」、
「面目ない。」、
「私の名前にかけて、この仕事はやりきる。」と言った。
緑が、「公安の手にある人間をヒットする手立てがありますか。」と聞くと、
西村は、「宮川という奴は俺もよく知っている。」、
「一筋縄ではいかない奴だ。」、
「俺も名前をかけるといった以上、必ずやり遂げる。」と言った。
緑は、「おじき、お願いいます。私の命もかかっているから。」と命のことを二度繰り返した。
西村は、「みどりちゃん、よく分かった。後見人の俺が必ずなんとかする。信じて待ってい
て欲しい。」と言って電話を切った。
緑は西村の
80
歳近いという年齢だけが心配であった。
西村は豪田に電話をかける。
そしていきなり、
「ばかやろう、木村は公安の宮川のもとに入ってしまった。」、
「お前も宮川は良く知っているだろう。」、
「しかしやらねばならない。」、
「俺の“やくざ”としての名前がかかっているのだ。」と言った。
豪田が、「総長、大変申し訳ありません。」、
「私の指でお詫びをしなくてはなりません。」と言うと、
西村は、「豪田、お前の指などだれも欲しくない。」、
「欲しいのは木村の命だ。」と言い、
「誰か1,000m以上の腕があるヒットマンはいないのか。」と言った。
豪田は、「一人います。暁のゴルゴサーティーンと言われている、暁ジョーという奴です。」
と言った。
西村は、「その暁ジョーは高いのか。」と聞くと、
豪田は、「総長、一殺 5,000万と言われています。」と答えた。
西村は、「その 5,000万俺が出す。暁に頼め。」と言った。
豪田が、「分かりました、総長。」と言うと、
西村は、「確実に頼むぞ。」と念を押した。
豪田は暁ジョーに連絡を取る。
闇のサイトという、この世界にしか知らされていないホームページの書き込み欄に、「暁山
のぼれ、豪田。」と暗号化した携帯番号を書き込む。
このホームページにアクセスするには、二重のパンワードが必要だった。
翌日、暁から豪田の携帯に電話がある。
暁は、「豪田さん、見ました。」
「ご用件は何でしょう。」と聞いてきた。
豪田が、「公安の宮川の手にある、木村という商社マンをヒットして欲しい。」と言うと、
暁は、「ご予算はどれくらいですか。」と聞いた。
豪田が、「1,000万ぐらいあるのですが。」と言うと、
暁は、「ただのサラリーマンをやるのだって1,000万じゃやらない。」、
「宮川の手にある奴なら、最低5,000万だ。それ以下ならやらない。」と言った
豪田は、「少し待ってください。」と言って、1・2分考えた後、「その値段で結構です。お願
いいたします。」と言った。
暁は、「状況を調査してから、もう一度連絡する。」と言って電話を切った。
翌日、暁から電話が入る。
暁は豪田に、「木村は宮川が警視庁のとなりにある、検事局の地下留置場にかくまっている。
ロシア人の女と一緒だ。簡単には手を出せない。」と言った。そして、「多生時間はかかる。検
事局を出るまでは手を出せない。」と言い加えた。
豪田は、「それで結構です。クライアントにはその旨を伝えましょう。」と言った。
暁は、「分かりました、お受けいたしましょう。」、
「akatsuki@jyo.jpのアドレスに木村の写真・自宅住所・勤務先をメールしてください。」、
「半金の2,500万をスイス銀行丸の内支店普通口座184―0350699、暁ジョー
に振り込んでください。」と言った。
豪田は、「分かりました。クライアントに伝えます。」と言って電話を切った。
それから豪田は西村に電話をかけ、
「暁が仕事を請けてくれました。」、
「値段は5,000万です。」、
「今木村は、宮川が警視庁の隣の検事局の地下留置場にかくまっている。」、
「簡単には手を出せないので、少し時間がかかるとのことです。」、
「これでよろしいでしょうか。」と言うと、
西村は、「分かった、金はどうすれば良いのか。」と言った。
豪田が、「akatsuki@jyo.jpに木村の顔写真・自宅住所・勤務先をメールしてください。スイ
ス銀行丸の内支店の普通口座184―0350699暁ジョーに半金2,500万を振り込ん
作品名:ダヴィンチコード イン ジャパン 作家名:HIRO サイトー