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ダヴィンチコード イン ジャパン

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 ナターシャと女子トイレの前で会い、タクシー乗り場に急ぐ。

 すると、黒服・黒ネクタイ・黒メガネの細身で長身の白人男性二人がこちらを見ている。

 木村はナターシャに、「やばい。」と声をかけて、二人でタクシーに乗り込んだ。

 木村は運転手に、「チップをはずむから、超特急で東京に行ってくれ。」と頼むが、

 運転手は、「お客さん、今警察がうるさくてスピード違反はできますよ。」と断られた。



 木村は、「じゃあ、なるべく早く行ってくれ。」と頼んだ。

 タクシーが出発すると、後から黒服二人が車で追ってくる。

 空港を出たあたりで、うしろからマシンガンを撃ってくる。

 弾がうしろの窓に当たりガラスが割れる。

 運転手はビックリして全速力で走り始めた。

 それから無線で警察に救援を求める。

 タクシーは150キロ以上の猛スピードで、東関道を東京に向かった。

 黒服の車も猛スピードで、マシンガンを撃ちながら追いかけてくる。

 そこに成田空港から警察のヘリが飛んで来た。

 黒服は警察のヘリにもマシンガンを打ち出す。

 今度はこっちへ携帯ミサイルを撃ってくる。

 ミサイルがタクシーの横で炸裂し、破片で左側の窓ガラスが全部割れてしまった。

 そこに警察無線を傍受していたのか、マスコミのヘリが2機飛んで来た。

 黒服はマスコミのヘリも銃撃する。

 1機が被弾し畑に不時着した。

 もう1機のヘリが、この光景を全国に実況中継し始める。

 若手の男性アナウンサー前島浩二は、「今、私の下で凄いことが起こっています。ここは戦
場です。」、



 「黒服・黒ネクタイのブルース・ブラザースのような連中が、前のタクシーをマシンガンと
ミサイルで銃撃しています。」、

 「ダダダダダー、銃声音がここでも聞き取れます。」、

 「警察のヘリも来ています。」、

 「拳銃で応戦しているようです。」、

 「ああーツ、こちらにミサイルが飛んできます。」、

 「パイロット・左だ、左へ廻れ。」、

 「もっと、もっと、もっと左だ。」、

 「ああー、ミサイルを避けられた。」、

 「命、拾いだ。」、

 「よし、もっと近づけ。」、

 「カメラ・アップだ・アップだ。」、

 「タクシーは銃撃されてもうよれよれだ。」、

 「警察の大型へりが飛んできた。」、

 「今度来たのは重装備だ。」、

 「大型の機関銃で応戦している。」、

 「タクシーの横を走っていたタンクローリーに流れ弾があたり転倒した。」、

 「高速の壁に激突し大音響とともに炎上している。」、



 「そのガソリンが高速の上に巻き散らかされ、道路全体が燃えている。」、

 「何台もの車が巻き込まれて炎上している。」、

 「警察の大型ヘリが低空まで降り、横から黒服を銃撃している。」、

もうアナウンサーはシドロモドロ、

 「私も興奮しております。」、

 「戦争・戦争・戦争です。」、

 「ああーツ、黒服の車が四街道インターから外に出ました。」、

 「ゲートを突破し国道に出ました。」、

 「今度は車が多く警察も銃撃できないようです。」、

 「黒服の車がビルの脇の道を曲がった。」、

 「ビルの陰に止まった。」、

 「ああーツ、黒服の車が爆発した。」、

 「真っ黒い煙で何も見えない。」、

 「どこだ・どこだ黒服はどこへ行った。」、

 「探せ、低空に降りて黒服を探せ。」、

 「どうやらビルの中に逃げ込んだようだ。」、

 「パトカーが3台ビルの前にやってくる。」、

 「警察官が
10
人ほど降り、ビルの中を捜索しているようです。」、



 「視聴者の皆さん、今信じられない出来事が起こっています。」、

 「こんなことがあっていいのでしょうか。」、

 「日本の警察はいったい何をしているのでしょうか。」、

 「この犯人を何が何でも検挙しなければなりません。」、

 「全国の視聴者が犯人の顔を見ています。」、

 「証人は1億人います。」、

 「あんなやつら許せない。」、

 「俺がふっ殺してやる。」、

 アナウンサーも自分で自分が何を言っているのか分からないようだった。

 その後警察官100人ほどが、ビルを取り巻き黒服を探す。

 全員拳銃を構えゆっくりと中に入っていく。

 5階建てのビルを、地下1階からゆっくりと隅々まで探したようだ。地下から始め、1階へ
さらに2階へ、さらに3階へそして4階へ、最後に5階にたどり着く。その後屋上を調べるが
黒服はいない。一体どこに行ってしまったのか。3階のトイレの中から、2着の黒服・2本の
黒ネクタイ・2つの黒メガネが発見された。しかし、黒服の中身の人間はどこかに雲隠れして
しまった。

 木村とナターシャは、よれよれになったタクシーに乗って東京方面に向かう。

 運転手は恐怖で何も口を利かない。早くこの場を離れたい様子だった。



 幕張の料金所まで来ると、警視庁の大型バスが待っていた。そこから警察官2人が降りてき
て、その一人が、「事情をお聞きしたいので警視庁本部まで来て欲しい。車はこちらで用意し
ています。」と言った。

 木村は、「分かりました。」と答えて行くことにする。

 ナターシャも、「もちろん、私も行きます。」と同意する。

 運転手はまだ恐怖で体が震え、よく話せなかった。もう一人の警察官が、「あなたはタクシー
の運転手ですね、こちらに来てください。」と言って、別の車に連れて行った。

 木村とナターシャは警視庁の大型バスに案内される。

 そしてパトカーが先導し、100キロ以上のスピードで桜田門警視庁本部に向かって走り始
めた。



  宮川警部との出会い

 警視庁本部に着くと、いきなり地下の駐車場に入りそこで車を降りた。それから警察官二人
がやってきて、二人をエレベーターに案内する。

彼らの案内でエレベーターに乗って、
10
階に昇り奥の部屋に入る。二人が部屋を入ると、
50

ぐらいの一人の男が待っていた。

 そして二人に名刺を渡す。

 名刺には、公安調査庁外国課課長宮川正弘とある。

 宮川は英語・ロシア語ともに堪能で、

 ナターシャにはロシア語で挨拶した。

 木村は、「モスクワでリガチョフさんからお名前はお聞きしておりました。僕は木村孝と申
します、商社の丸実に勤めています。」と言った。そして、 「こちらはナターシャ・グレゴリ
アさんです。」とナターシャを紹介した。

 二人は宮川と握手を交わした。

 宮川が、「ナターシャさんも、ユーリー・リガチョフさんをご存知ですか。」と英語で聞くと、

 ナターシャは、「私の大学の同級生です。」と答えた。

 宮川はうなずき、「リガチョフさんから大体の話は聞いている。フリーメイソンは我々もマー



クしていた団体だが、まさかここまでのことをやるとは考えてなかった。」と冷静に分析した。

 宮川は続けて、「キリストの話を早く発表しないと、いつまでも狙われることになる。木村
さん今すぐ発表することができますか。」と木村に聞いた。